★小話『攘夷麻雀』
麻雀をするから来いと言われた。
行くと言った。
しかし麻雀のルールを知らなかった。
知らないとは言えなかった。
なんかわからんが、奴等は麻雀が強そうだ。
それぞれに、それぞれの個性を活かした強さがありそうだ。
負けられねェ。
だから徹夜で麻雀の本を読んだ。
色々な役を覚えた。
『誰でも勝てる!麻雀必勝法』みたいなノウハウ本も読んだ。
アカギも読んだ。
勝てるかはわからねェ。
だが恥ずかしい負け方はしねェだろう。
くらいには勉強した。
少しフラフラしたが頑張って万事屋まで行った。
奴等は既に揃って卓についていた。
桂(中を手に持って)『發さん、やめて。白さんに聞こえる』
銀時(發を手に持ち桂の中の上に乗せ)『そんなこと言って、お前のここはもうこんなだぜ、中』
坂本(白を手に持って)『何をしとるがじゃー、發!』
桂(中を坂本の白に向け)『白さん』
銀時(中の上から發をどかし)『ち、違うんだ白。俺は中に誘惑されて…』
桂(中を揺らし)『なんですって』
坂本(白を中に詰め寄らせ)『なんじゃとー!それはほんまか中』
………
なんだこれは。
こんな遊び方…本にもアカギにも書いてなかった。
「よー、高杉。遅かったな」
銀時が言った。
「待ってたんだぜ。早くこいよ」
「うむ。高杉のことだ。さぞかしいい手で攻めてくるに違いないと皆で言っていたところだ」
「楽しみじゃー。アハハハハ」
俺はゴクリと唾を飲んだ。
一体、どうすれば…。
だが狼狽したりするのは俺のキャラに相応しくないので、俺は頑張って、ククッと笑って余裕のふりをした。
「今日は上限なしだから、軽く本気なんだよね」
どうしよう。銀時が言っている言葉の意味が、いっこもわからない。
上限なしって何。
「お前がどの牌を引くか…。それで流れが決まる」
「高杉じゃからのう!きっとわしらが予測もつかんのを引くに決まっとる」
なに言い出すんだ、お前ら。やめてくれ。
しかし動揺を表に出すわけにはいかなかった。俺は俺のキャラを守らなくてはいけない。
俺は、フッと笑い、牌が二段重ねで積んである山から、何気ないふうを装い一個を取った。
なんだったか、これ、あの、鳥のやつ。
「おおー、一索」
「ドラじゃ」
「さすがだな」
ドラ?ドラなのか?
ドラってなんだっけ?
「白發中が出揃っているなか、一索を引き当てるとは」
「やるじゃねぇか」
誉められている。
何故誉められているのかはわからないが、誉められている。
「じゃー、高杉。おまんの番じゃき」
全員の目が俺に向けられた。
俺は。
俺は。
高杉(一索を手に持ち)『中!そんな奴等は信用しちゃだめ!!』
銀時(發を揺らしながら)『誰だテメーは』
高杉(一索を手に持ち)『中の高校時代の親友の一索よ!!』
坂本(白を一索に近付け)『部外者は黙っちょれー』
高杉(一索を揺らしながら)『部外者じゃないわ!!あたし…あたし前から中の事が…!!』
こんな感じで、朝まで麻雀をやらされた。
でも、なんかわからないが、俺は勝ったらしくて、3万くらい貰えた。
それに奴等はみんな俺をすごいとかさすがとか言い、俺は言葉少なにククッとか笑って俺のキャラを崩さずにいられた。
今度呼ばれたら、また行こうと思った。
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