★小話『営業』

はい
いつもお世話になっております
いえいえ、なにをおっしゃいますやら僕みたいなものをいつもお引き立て下さいまして本当にありがとうございます
はい
はい、そうですか
その後、問題はございませんか
あー、それはよかったです
僕も頑張らせて頂いた甲斐があります
えっ
えっ何でしょうか
ええっまさか
そんな、それは確かにあの方は以前ご贔屓下さってましたが、その後だいぶご無沙汰させて頂いておりましたから、今はもうずっとそちら様専門で働かせて頂いておりますよ
え?
いやいや、ほんとです
ほんとですって
もー、まいったなー、なんですか今日は
はい
はい、はい
うーん
いや、勿論あの方も大切なお得意様でいらっしゃいますから
いやだからね
もう、なんといいますか、僕としてはね、むしろお二人を引き合わせてみたいと思ってたくらいなんですよ
何でしょうかね、きっと僕なんかでは及びもつかないお話をなさるんじゃないかって常々思ってたんですよね
いやほんとに、そういうお二人を陰ながらサポートさせて頂けたらどんなにかいいかと
あっそうだ、少し涼しくなったら温泉でもいかがですか
この前、お好きだろうなーみたいなとこ見つけましてね、お二人をご招待させて頂きたいなーみたいな
僕なんかでよければ、お背中流させて頂きますよ
はは、ははははは


…いや、結構マジなんすけど



(2012/07/27 21:21)




『いや
いやそれはー…、ちょっと
いやいや、勘弁していただけないですかね
坂田様も僕の方でもちょっとそればっかりは
どうかご理解いただけないですかね
ほんと申し訳ありません』

いやあ〜…
すいませんバタバタして
あっ
あっ 坂田様
よろしいですから
どうか座ってて下さい
ほんとによろしいですから
お気になさらず どうか
お話は山崎の方から聞いておりますから
坂田様にまでそのような事を仰られてしまったら僕、困りますから
助けると思って、どうか

あのですね
生意気な事を申しますが、随分坂田様には助けて頂いているんですよはい
え?
いえ、いえ
何を仰いますやら
ほんともう、坂田様は色々と難しい事を仰いますがアハハ、お陰様でかなり勉強させていただきました
正直なところ僕は坂田様に育てて頂いたと思っておるわけでして
ほんとですよ
ほんとですって、いやだなあ

そうですね、私共は最終的には利益を考えて動かざるを得ないわけですが
やはりモチベーションというのでしょうか、個人の感情としてお客様にお喜び頂くことにどうしてもやりがいを感じるんですよね
特に懇意にしてくださっている方には、そのように思ってしまいますから…
もう、究極的には坂田様さえご満足くださるならいいくらいのことも思ってしまうんですよ
もうなんすかね、性みたいなもんですね
はは、ははははは
いや結構マジなんすけど


お時間大丈夫ですか
すみません、もたもたしまして

はい
はい
ええ、承知しております
はい、かしこまりました
お任せください
必ず良い結果を持ってまいりますので
どうかご安心いただければと思います
はい
それでは
どうか今後とも、是非よろしくお願いいたします



と、言った営業さんは非の打ち所のないスマイルを浮かべていたが、非の打ち所が無さすぎて、逆に何考えてるのか全くわからないのだった。



おわり

(2012/07/29 13:09)







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