いぬ
帰ってこないので、玄関の鍵をかけてやった。
「犬は、叩かれないとわからないアル」
と神楽ちゃんが言った。
僕は、叩かれてもわからない犬もいる、と思った。
「叩かれてもわからない犬は、どうすればいいだろう」
神楽ちゃんは下を向いたまま
「そんな犬は殺してしまえ」
と言った。
神楽ちゃんがそうするのなら、僕は、それを側でずっと見ていよう、と思った。
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