「名前さんって、なんか子犬っぽいですよね」
「え、そうかな?」
コテンと頭を横に傾げて黒子を見つめる。
「はい。見た目もそうですけど、特に行動が」
「えー見た目は黒子くんの方が子犬だよ。テツヤ2号とそっくりじゃん!」
ガラッ
まぁ、そうですけど。と言いながら、音がしたドアを見る。
欠伸をしながらのそのそとこちらに向かってくる火神くんが見えた。
「ったく、おめーはまた俺の席座ってんな」
「大我!おはよ、待ってたよ!はい、座って座って!!」
「・・・後ろから抱き着くなよ」
「えー!!やだやだ、私良い子にして待ってたのに・・!今日はブーブークッションも仕掛けてないし、落書きもしてないよ!」
「当たり前だバカ」
火神くんが来ると名前さんはご主人様が来た子犬のように喜んで、構って欲しいオーラを出している。
いつもはイタズラを仕掛けたりしてからかったりもするが、それも構って欲しいが故の行動だということは一目瞭然。
「そーいうところが子犬に見えるんですよ。」
「ん?なんか言った?」
「うおっ!黒子お前いつの間に!?」
溜息を吐いて、最初からいましたよ、と告げる。
僕はこの二人が不思議でしょうがないんです。
あの、テツヤ二号ですらカナリ怖がっている火神くんが、子犬にしか見えない名前さんと付き合ってるなんて・・・。
◇
「二号ーっおいでー!ホントかわいいなー」
「それ持って俺に近づくなよ。」
「可愛いのに・・。」
二号をギュッと抱きしめて火神を見上げる。
「そんな顔で見ても無理なもんは無理だ!」
なんだかんだ言って名前さんに弱い火神くんでも犬のことになるとあんなに拒否しるのに、なんでですかね。
僕には名前さんも犬に見えるんですけど・・。
「火神くん、なんで名前さんと付き合ってるんですか?」
「はぁ!?なんだそりゃ」
「気になったので」
「いや、まぁ、そりゃーあれだ、・・・」
徐々に顔を染めていき頭をポリポリ掻いて誤魔化す。
「火神くんが名前さん大好きなのは知ってますよ。そうじゃなくて、名前さんって子犬っぽいじゃないですか。火神くん犬苦手なのになんで名前さんと付き合ってるんですかってことです。」
「おまっ、そういうことそんな大声で言うな!」
二号と遊んでいる名前を見て聞こえていないか確認する。
こいうことに関してはホント恥ずかしがり屋ですよね、火神くんって。
「まぁ、確かに名前が犬に見えないこともないけどよ、・・・猫にも見えるじゃねぇか」
「・・・は?」
え、火神くんそういう問題なんですか?
「でもよ、俺名前が犬なら大丈夫な気がすんだよなー。」
二号とじゃれて遊んでいる名前を見ながら、薄く微笑みそう呟く。
「って俺何言ってんだ!?」
自分がどれだけ恥ずかしいことを言ったのか気付いて、顔を真っ赤に染める。
「相変わらずですね、でも惚気は勘弁してください。」
「なっ」
フッと笑って顔を真っ赤に染めて慌てる火神から離れる。
あんなに苦手な犬でも名前さんが犬なら大丈夫とか本当によく言えましたね。
でも、火神くんがなんで名前さんと付き合ってるのか分かった気がします。
「愛故、なんですね。」
end