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「なんで海常?」

「んー室ちんが海常に行くって言ってたからー。」

「誰、ねぇそれ誰?ってか理由になってなくない?」

「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんはこれからどこ行くのー?」

「・・・海常だよ。運悪くも海常だよ!・・・海常まで案内してあげるから、その室ちん?は自分で探してよ。」

「えー」


掴まれていた腕を振りほどいてスタスタと歩き出す。


とにかく海常に一刻も早く着いてコイツから解放されたい・・!



「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん早いー。待ってよー!」




歩いて数十分。
やっと海常の門に着いた。


初めは早歩きだったが、途中で紫原に腕を掴まれながら歩いてきた為に思ったよりも時間が経ってしまった。
携帯を見れば黄瀬からの着信やメールが大量に来ているし、時間を見ればだいぶ部活に遅刻していることが分かる。



「ここが海常。じゃ、私急いでるから室ちんとやらは自分で探しなさい。」

「やだ」

「おい」


ダッシュで逃げようとすれば、両手で腰を掴まれ宙に浮く。
そして、紫原は名前を脇に抱えるとそのままの状態で歩き出した。


「俺紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん気に入ったから、持って帰る」

「何コイツ。笑えない。てかこの位置でかなり高いんですけど。」

「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん体育館どっちー?」

「・・・何、目的地体育館?なら、あっち。」


半分あきらめた状態で、紫原の脇に抱えられながらも体育館に案内する。


きっと体育館に着けば黄瀬に見つかって、死ぬ気で助けてくれるだろう。
なんかめっちゃ身長高くて強そうだけど、きっと助けてくれるだろう。
それに室ちんとやらはきっとコイツを止めてくれる、と思う。


そんな淡い期待をしながら体育館に早く着くことを祈った。




体育館


「名前っちがまだ来ない・・。絶対に何かあったんっスよ!!どどどどうすれば・・!!」

「うるせぇ!落ち着け!」

「・・・で、練習試合の件なんだけどさ・・。・・はぁ、これからアツシ探しに行かなきゃいけないのに、誰も俺の話聞いてくれない・・。」


ガチャッ


「ついたー」

「涼太!助けて!全力で助けて!!」


「「「え!?」」」


体育館のドアが急に開かれたと思えば、そこには紫原と脇に抱えられた名前がいた。
名前はこの時を待ってましたと言わんばかりに、黄瀬に手を伸ばし足をじたばたさせて暴れる。



「名前っち!?え、ってか紫っち!?え、え!?」

「アツシ!まったくどこに行ってたんだ。俺にお菓子渡したままだったから心配したんだよ?」

「室ちん!紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんが助けてくれたから大丈夫だったよー」

「君が室ちんか!お願いだからこれどうにかして!!」

「そうかじゃあ名前さんにはお礼しないとね」

「助けてくれれば何もしなくていいからさ!早く助けようよ!」

「それは大丈夫ー。紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん持って帰るからー!」

「ちょ、室ちんとやら!無視!?」

「そうかそうか。なら良かった。」

「・・・うぅ・・。」


真っ先に助けを求めた黄瀬は名前が紫原に抱えられてやってきたことにショックを受け、いまだに固まっている。
名前は黄瀬を諦め、氷室に助けを求めたが二人に無視され泣きながら脱力する。



「紫っち!名前っち持って帰るってどういうことっスか!?名前っちは俺のっスよ!!」

「涼太!」


黄瀬が紫原から名前を取り返そうと二人に近づく。


「黄瀬ちん何言ってんのー?紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんは俺のー。」

「とにかく名前っちは返してもらうっスよ!!」

「あっ!」


黄瀬は紫原が油断した隙に名前を奪い取り、抱きしめながら遠くへ避難する。


「名前っち無事で安心したっス!!でもなんで電話してくれなかったんスかー!!すっごく心配したんスよ!?」

「ごめんね。・・・涼太、ホントに、ほんとーにありがとう。もうホントに良い子!!」

「わわっ」


名前は黄瀬に抱き着き、黄瀬の頭を良い子良い子と何度も撫でまわした。


やっと解放されたよー!!
嬉しすぎる・・!


「名前っちが積極的・・!」


デレっと締まりのない顔をして、名前に抱きしめられながら頭を撫でられ喜ぶ黄瀬。
きっと犬だったら尻尾をはち切れんばかりに振り回していたことだろう。


「いいなー黄瀬ちん。室ちん、俺紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん欲しい」

「まだこっちにはいるんだし、また今度来ような。今日は帰ろう。」

「えー」

「帰りにお菓子買ってあげるよ」

「分かったー!」

end
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