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今、私の目の前で紫色の髪をした人が倒れた。


「嘘でしょ・・。」


さっきからフラフラしてるなーっとは思ってたけど、倒れたよ。ついに倒れたよ。
でも私は気にせず通り過ぎようと思います。
なぜかって・・?髪の色が普通じゃない人に普通の人はいないって学習したからね!!
こないだの緑の件で学習したよ!!


・・・それに、今日は手作りのお菓子が鞄に入ってるし。黄瀬が楽しみに待ってるだろうから早く行ってあげたいんだよね。


昨日黄瀬に泣きながら頼まれたクッキー。前に一度作ってあげたら大層気に入って、また食べたいと駄々をごねていたから、仕方なく作ってきたのだ。


名前は多少の罪悪感はあるものの、倒れている紫髪の横を通り過ぎようとした。


ガシッ


「・・・おい」



だが、通り過ぎる直前で足を掴まれ先に行けなくなってしまった。
とりあえず転ばなかった自分に拍手を贈りたい。



「良いにおいがする。・・・お菓子、持ってる?」

「・・・持ってるけど、だめだよ。」

「お腹空きすぎて死にそう・・。」



名前の足を掴みながら、死んだように顔を伏せる。


・・・また厄介な奴に捕まったよ・・。


「じゃあコンビニでおにぎり買ってきてあげるから、とりあえず足離してくれる?」

「やだ、お菓子がいい」

「・・・じゃあお菓子買ってくるから足離せ」

「鞄に入ってるクッキーがいい」

「おい、なんでクッキーって分かった」


やばい、コイツ怖い!
クッキーが入ってるなんて一言も言ってないのに、当てたよ!!
匂いで当てたとでも言うつもり?

・・・くそっ、逃げたくても力が強すぎて逃げられない・・・!



「・・・はぁ、分かったよ。クッキーあげるよもう」

「・・!ホント?やったー!」



鞄からクッキーを出してポイッと投げて渡せば、足を掴みながら器用にクッキーを食べていく。


あーあ、黄瀬になんて言えばいいんだろう。
絶対また泣くよ・・。



「・・・おいしい・・・!ねぇ、君名前何?」

「・・・苗字名前」

「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんかぁー!俺、紫原敦ー。」

「うん、違うね。なんか多いよね」

「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん、このクッキーもっと欲しい。」


いまだに足を掴んだまま名前を下から見上げる。
キラキラした目で見つめられ、不覚にも、ドキッとした。


・・・コイツ、体は大きいのに、なんか子犬的なオーラを感じる・・!


「そ、そのクッキー私の手作りだから。もうないの。」

「えー!じゃあまた作って。」

「ふざけんな」



そう言って掴まれている足を大きく振って、紫原からの手から逃れる。
そしてすぐさま走って逃げようとすると、次は手を掴まれた。



「ちょっ、離してよ!もうクッキーあげたからいいでしょ!」

「・・・それがさー迷子になっちゃってさ、紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん助けて」

「はぁ!?やだよめんどくさい!!」

「・・・紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん・・」

「・・・う」

あーもう!!その捨てられた子犬みたいな目やめてー!!

名前は諦めたように溜息を吐き、紫原を見上げた。

「・・・どこに行きたいの?」

「海常高校。」

「ん?」

後編へ続く
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