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黄瀬の声は思ったより大きく、体育館がシーンとして静かになる。


「名前っち、俺この試合絶対勝つんで、覚悟しといてくださいっス!!」


ポカーンとして固まっている名前に一方的に告げると、コートの中に入って行った。


「・・・ふーん、やるじゃん。こんな大勢の前で意中の子に告白とかさ〜。でも、負ける気ないからね、俺たち秀徳も。・・・って名前!?・・え、名前!?」

「名前だと!?・・・なぜそこにいるのだよ!!」


黄瀬の告白をばっちり聞いていた高尾は、黄瀬の勇気ある行動を褒めながらも自分たちに勝つと宣言した言葉はきっちり跳ね返す。
恋愛事情が関わっていようがいまいが、手を抜く気なんてサラサラないという意味も込めて。

だが、あの黄瀬が告白するような子がどんな子なのか気になり、黄瀬に隠れて見えていなかった子を見れば、そこには見覚えのありすぎる人物が座っていた。

興味がないような顔をしていた緑間も高尾の言葉を聞くなり、名前の姿を確認し、驚きを隠しきれなかった。


「あははっ、二人とも凄い顔!!」

「「おい」」


名前は緑間と高尾の驚く顔を見れたことに満足し、ケラケラと笑って二人を指さす。


「・・・ったく。なんで名前がここに。・・・そっちのベンチにいる理由とか全然わかんねーけど、この試合が絶対に負けられないってことは分かったわ。」

「・・・どういうことっスか?」

「お前に名前は渡さないってこと。」

「ふーん、そういうことっスね」


二人がこんな会話をしているなか、名前はいまだに爆笑していた。



試合が始まってからだいぶ経ち、ついに残すは第4Qのみとなった。

98-98

どちらも点差をつけられることなく同点が続く。

「三人とも・・すごい・・!」

いつも緑間と高尾を練習で見てはいたが、ここまで迫力のある試合は見たことがなかった。
黄瀬のマネる力も、その人以上のキレの良さでシュートを決め、緑間のシュートはどんなに遠くても見入ってしまうくらい綺麗に入る。

そして、高尾の鷹の目も、高尾を通じて通るパスのお陰で緑間がシュートをすることができる。そんな場面が多くあった。


多くシュートをするわけでもないし、目立っているわけでもない。
でも、私の目にはパスを回してシュートへと導く、高尾くんばかりが映っていた。

自分で回したパスで緑間がシュートを決めたときの高尾の笑顔に、名前は胸が熱くなるのを感じた。

高尾くんって普段あんな風に笑ってたっけ?
私、高尾くんのこと全然知らなかったんだな・・・。

真ちゃんをからかっている時とはまた違った笑顔。
いつも一緒にいたのに、知らないことばかりだったんだね。



「試合終了!!」

「!!」


考え事をしながら見ていたため、試合が終わりに近づいていたことに気付かなかった。
どっちが勝ったのか、ドキドキしながら審判の続きの言葉を待つ。

「112-111で秀徳高校の勝利!」
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