「そういや名前って真ちゃんと同じ帝光中だったんだよな?」
「そだよー。でもね、3年の前期まで。」
「え?なんで?」
「海外に行ったの。」
「海外?え、なんで?」
「んー」
高尾にそう聞かれ、名前は昔を思い出すように斜め上を向いて考え出した。
・・・話すと長くなりそうだし、言わなくてもいいかな。
でも、凄い興味津々って感じだなー。んー、どうしようかな。
「まぁ、色々あってね、話すと長くなりそうだからいつか話すよ!」
「えー!」
その後、名前が海外に行った理由を気になってはいたが、深く追求することはなかった。
◇
放課後
「今日も名前練習見に来ないのかー。最近多くね?真ちゃんなんか知ってたりする?」
「・・・いや。」
昨日名前の事が好きだと自分に告白した高尾はいつもと変わることなく接してきた。
敵視されるのではと少なからず思っていたこともあり、いつもと変わりない高尾に安心している自分がいた。
そしてふと、高尾に聞かれたことを考える。
帝光中3年の後期名前が海外に行ったことを思い出し、最近の名前の不在の多さとリンクするものを感じた。
・・・まさか、もうその時期とでも言うのか・・・?
「真ちゃんも知らないのかー。ならいっか!・・・真ちゃんだけ知ってて、俺が知らないとか、ちょっと嫉妬しちゃうし」
「・・・。」
「って真ちゃん顔怖いけど!?」
「・・!・・あぁ」
考えを巡らせていた緑間はいつの間にか眉間にしわを寄せ怖い顔になっていた。
高尾にそれを指摘されすぐに戻すと、今さっき考えていたことを思考から追い出す。
「でさっ名前ってさ、帝光中の3年後期海外行ったんだよなー?・・・真ちゃんその理由知ってたりする?」
「・・・っ!?」
さっきまで自分が考えていたことを言われ、目を開いて驚く。
やはりそれが関わっていたのか・・・!?
「その顔はさてはなんか知ってんなー!」
「・・・おおまかにしか、知らないのだよ。」
「でも知ってることには知ってるんだ。何何?」
言って、いいのだろうか・・・。
緑間は躊躇しながらもゆっくり口を開いた。
「・・・手術、だ。」