「真ちゃんてさー何があっても3P入れられるんだよね?」
「当たり前だ。俺は人事を尽くしているからな。」
「よし、高尾くん!何があっても真ちゃんの3Pが決まるのかどうか実験しよう!!」
「お!いいね〜。面白そうじゃん!!」
いつもより早く授業が終わり、部活の準備を早めに済ませた2人は体育館に入ってきた名前とゲームをすることにした。
いつもは上の方からバスケをする2人を応援していた名前だったが、3人以外誰もいないコートに立ち、ボールを緑間に渡す。
「じゃあ、真ちゃんはいつも通り3Pを入れて、私と高尾くんでそれを阻止するゲームね!阻止する方法はなんでもあり!ボディタッチもOKね!・・・制限時間は他の部員さんがくるまで!!よーい、始め!!」
「えっ、ちょ、ボディタッチあり!?」
高尾が名前に聞き返している間に緑間はシュートの体制に入り、すぐに投げ放つ。
名前はジャンプをして止めようとしてみるも、身長的にもまったく障害とならなかった。
スパッ
「「・・・あ」」
「ふん。だから言っただろう。」
緑間が放ったシュートは少しもゴールの円に触れることなく綺麗に入った。
「まだ一回目だもん!!・・・高尾くん、やっぱり普通のやり方じゃダメそうだから、ボディタッチでホームを崩そう!!」
「よしっ!それなら俺に任せろー!・・・尻思いっきり蹴る!!」
「まじで!?待って、携帯携帯ーっ!!」
名前は携帯を見つけ構える。
緑間はボールを持つと、高尾に背を向けることなく軽やかにドリブルし、3Pラインの近くまで来る。そして、シュートをする体制に入る。
「真ちゃん、俺の鷹の目からは逃げられないぜ!!・・・尻ゲーット!!」
「・・・誰がここからシュートすると言ったのだよ。」
「・・・んなっ!!」
「・・・あ!!」
シュートをする体制に入った緑間の背後に周り、蹴る体制に入った高尾だったが、蹴りが届く寸前で緑間はドリブルで退避し、高尾が空振りしたと同時にシュートを放った。
スパッ
ドテッ
パシャッ
「いってー!!つかそれダブドリじゃん!!真ちゃん反則じゃね!?」
「ふん。ボディタッチも反則なのだよ。」
「あー、高尾くんが空振りした写メになっちゃった・・・。」
緑間の放ったボールは、先ほどと同じように綺麗にゴールに入り、高尾は勢いよく蹴ろうとした為に、一回転して勢いよく床に激突した。
「・・・高尾くん、ちょっときて!!」
「ん?」
名前は高尾の腕をひっぱり緑間に聞こえない位置へと移動すると、高尾の耳に近づき次の作戦を話し出した。
・・・近っ!!やばっ名前の息が顔にかかって、集中できねー!!
「・・・て感じで!!だから、高尾くんは普通にガードして!」
「うお!?・・・あ、お、おう!」
やべ、聞いてなかった!!でも、とりあえず普通にガードすりゃいいんだよな?
いまだにドキドキと高鳴る心臓を必死に抑えて、緑間のガードの集中する。
名前が何をする気なのか聞き逃してしまったが、名前の笑顔は見るからに面白いことを考えていそうだ。
「・・・?次は普通のガードか?」
緑間の前では高尾がガードし、後ろでは名前がガードする。
ドリブルをして移動をすれば名前を巻くことは簡単で、高尾の隙をついてシュートを放とうとする。
「真ちゃん・・・!大好きー!!」
「なっ!!」
「ブフォッ!!」
シュートを放とうとした緑間の後ろから名前が大声で叫ぶ。
そのことにより動揺した緑間はホームが崩れる。
ガンッ
放たれたシュートはゴールにぶつかり、くるくると2周してゴールに入ることなく床に落ちた。
「わーい!!作戦成功!やったね、高尾くん!」
「まてまて!!何、名前真ちゃんのこと好きだったの!?」
名前が真ちゃん好きとか、かなりショック・・・!!
「え?うん!真ちゃんも高尾くんも大好きだよー!!」
「え!?あぁ、・・・そういう好きか・・・。うん。そうだよな!ならいいんだ!!」
「・・・。」
あははー。と笑って誤魔化す高尾に名前は頭を傾げる。
緑間は無言で名前を見つめた後、床に落ちたボールを拾いその場に立ち尽くす。
シュートが外れた屈辱感が全くないわけではない。
だが、それ以上に・・・名前から言われた言葉が、頭から離れない・・・。