ざわざわと落ち着きのない教室。
そこに新しい生徒が入ると、遠くで鳴く鳥の声すら聞こえるぐらいに静かになった。
「転校性の苗字名前です。」
「・・・っ名前!?」
緑間は普段見せることがないような形相で椅子から立ち、その転校生を見た。
名前・・・?なんで、ここに?
「真ちゃん!!ここの学校ってことは知ってたけどまさか同じクラスだなんて!!」
「・・・っぶ!」
深刻な顔をしていた緑間に、他の生徒も何事かと驚いていた中、名前は緑間に抱き着いた。
「な、なにをするのだよ!!」
「ホント変わんないねー!その変な喋り方とか、眼鏡!」
「うるさいのだよ!!」
「あっ!これは今日のラッキーアイテム?っぷ、ホント全然変わってない!」
「人事の為なのだよ!!」
「はい、没収ー」
「な、なにをする!?」
名前に取られた今日のラッキーアイテムのうさぎの人形を取り返そうと、名前に覆いかぶさるようにして手を伸ばした。
「っぷあはは!真ちゃんだいたーん!あー面白い!」
「なっ高尾!!」
高尾に笑われ、周りを見渡せば皆ポカーンとした顔で自分たちを見ていることに気が付いた。
・・・教室だという事を忘れていたのだよ・・・!
「ごほんっ。じゃ、じゃあとりあえず苗字さんの席はそこで。」
気まずそうに喉払いをした先生は、緑間の後ろの席を指さし、名前を席に座るよう促した。
「あっ、真ちゃんの後ろの席だ。」
「・・・。」
自分の後ろの席に座る名前に絶望的な視線を送り、ため息をついた。
「名前・・・。授業中に妙なマネをしたら許さな・・・!って言ってるそばから何しているのだよ!!」
「真ちゃんのラッキーアイテム返してあげてたんだよー」
「頭にのせるな!!」
高尾は緑間と名前のやり取りを、少し離れた自分の席から眺めいまだに笑っていた。
「あーホントあの子おもしろすぎ!授業終わったら即メアドゲットしないとな〜!」