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「あれ?撮影かな?・・・って、黄瀬?」

久しぶりのショッピングを楽しんでいると、目の前には人だかり。
何があるのかと中を覗いてみればそこには黄瀬の姿があった。


いつもはヘラヘラ笑って、蹴られてすぐ涙目になって、でもバスケには真剣で、それで私になにかと突っかかる黄瀬。


「なんか、違う人みたい。」

なのに、私の目の前でニコニコ笑ってる黄瀬は、いつも通りの笑顔のはずなのに、なんだか私の知らない人みたいに感じた。



次の日

「名前っちー!!これ見てくださいっス!昨日の撮影で撮った写真なんスけど、マネージャーに頼んでもらってきたんスよ!名前っちにあげたくて!」

「いらない。」

「えぇ!?」


見覚えのありすぎる服に身を包み笑顔を浮かべる黄瀬の写真。
黄瀬の手元にある数枚の写真を目にしてすぐに逸らす。


「なんでっスか!?すーっごくカッコよく撮れたんスよ!」

「そう?あぁ、確かにその服はカッコイイね。服は。」

「ひどっ!!」

名前にそう言われ涙目になりながら写真を眺める。


やっぱり、いつもよりカッコよく撮れたと思ったんスけど・・・。


「なんか、名前っちいつもより冷たい気がするっス・・・。」

「そう。」

「これ、ホントにいらないんスか?これもらうの、すごい苦労したんスよ・・・。」


黄瀬を見ればまるで飼い主に怒られた犬の様な顔で下を向いていた。


「はぁ。貸して。」

「・・・あ!」

落ち込んでいる黄瀬から写真を1枚撮り、眺めてみる。

・・・確かにかっこいいと思う。だけど、やっぱりなんか違う。

「黄瀬、今ここでこの写真と同じ顔して。」

「えぇ!?い、いや無理っスよ!!名前っちの目の前でやるとか、恥ずかしすぎるっス!!」

「いいから。」


プルプルと恥ずかしさを抑えて笑ってみた。
しかしやっぱり、名前の前だと照れ笑いみたいになってしまい、かっこいいと言うよりは、情けない顔になっている。

「あー!!やっぱり無理っスよ!!」

「っぷ。あは、あはは!・・・うん。やっぱりさ。」

「うー。なんスか?」

情けない顔を正して名前に向き直る。
名前はニコッと笑い、黄瀬の髪に手を伸ばした。

「私は、その写真の黄瀬より、そうやって私の前で笑ってる黄瀬の方が好きだ。」

「え・・・。」

「なんて言うか、しっくりくる。」

「だから、今の笑顔の写真なら、もらってあげてもいいよ。」
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