「なんか最近犬に懐かれる。・・・今度は本物の犬だけど。」
自分の足元を見れば、いつの間にか目の大きな子犬が名前の足にくっついていた。
はぁ・・・。折角今日は部活休みなのに・・・。
「どうしたの?迷子?」
「わん!」
「・・・そんな元気に返事されても・・・って分からないか。」
名前は足元にくっつく子犬を抱き上げじっと顔を見た。
・・・やっぱり、目が大きい。くりくりしてる。
「か、かわいい!」
「あの、すみません。」
「!?」
名前が子犬の可愛さに微笑んでいると、後ろから水色の髪をした人に声を掛けられた。
誰も人がいないと思っていた為、柄にもなく肩を上にあげて驚いてしまった。
「その子犬の飼い主です。」
「・・・えっ。あ、ごめんなさい。・・・って、ん?」
名前は急いで子犬を渡したが、子犬とその飼い主を見て何か違和感を覚えた。
「どうしたんですか?・・・そんなにじっと見られると、その、なんだか照れます。」
「・・・!似てる!ペットは飼い主に似るっていうけど、こんなに似るものなのね!かわいい!!」
「・・・。」
名前は満足をしたのか笑顔になり、水色の髪の毛をわしゃわしゃと撫でた。
「あ、あの・・・。」
「あ、ごめんごめん!・・・名前、聞いてもいいかな?」
照れているような、困っているような微妙な顔をしているのを見て、もっと苛めたいと思ってしまった。
「黒子テツヤです。・・・謝りながら撫でないでください。」
「黒子くん、ね。私は苗字名前。良かったら名前で呼んで?」
「あ、じゃあ名前さんですね。」
「で、本当に似てるよね。可愛い。」
ほわーんとした顔をしながら黒子の顔に近づく名前。
そしてすぐに子犬に目線を向け、またすぐに黒子を見る。
「・・・ありがとうございます。でも、なんか複雑です。」
「いいじゃない。その子が愛くるしいってことは、黒子くんも愛くるしいってことなんだし。モテるんじゃない?」
「適当ですね。」
・・・ん?ちょっと待って。
ペットは飼い主に似るって・・・。
この間笠松が黄瀬のこと犬って言って「名前は飼い主って感じだし。」って言ってたような・・・。
・・・。
私、あんなにうるさくないし、あんなにアホ面じゃない!!!
しかもあんなに目に悪い色の髪でもない・・・!
「名前さん。顔が怖いです。」
「私は、黄色い犬なんて知らない。」
「・・・?」