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「なんかよ、黄瀬って普段から犬っぽいけど、名前といる時はもっと犬っぽいよな。」

「あー。」

「で、名前は飼い主って感じだし。」

「えー。あんな大きい犬いらない。」

「まぁ、確かにでかすぎるな。」

「でも飼い主に絶対に逆らわない忠誠心の高い犬なら考えてもいいかも。」

「・・・。」


休憩中の笠松は黄瀬を見ながら、ふと思ったことを名前に言ってみた。
黄瀬は見れば見るほど犬に見える。名前といる時なんて犬にしか見えない。


・・・ってか黄瀬は名前の言う事なら絶対に逆らわなそうだな・・・。


「名前っちーっ!・・・コソコソ二人で何の話してるんスか!?」

「あ・・・?いや、」

「黄瀬、お手。」

「え!?・・・はいっス?」

黄瀬が練習を終え、休憩になった瞬間に名前を探すと、名前は笠松と二人で話し込んでいた。
そこに急いで駆け込むとなぜか名前にお手と言われ手を差し出された。
黄瀬は言われた通り差し出された名前の手の上に自分の手を置く。

「・・・。良い子。」

「・・・!」


・・・名前っちが笑った!!しかも、良い子って!は、初めて褒められたっスよ!?嬉しいっス!!


黄瀬は初めて褒められたことに感極まり、手を横に広げ名前に抱きつこうとした。


「待て。」

「えぇ!?」


だが、あと一歩というところで名前から静止の言葉が掛かってしまった。


「偉い。涼太、ご褒美。」

「・・・!!」


名前の静止の言葉を律儀に守り、横に手を広げたまま固まっていると、名前はかかとを上げて黄瀬の髪をくしゃっと軽く掴み、ポンポンっと優しく撫でた。


・・・な・ま・え!!!りょ、りょうたって!!名前っちが俺のこと名前で呼んだっスよ!?
しかも頭、撫でられた・・・!!


「休憩終わり。次は試合形式の練習だね。」

「あ、おい名前!・・・黄瀬どうすんだよ。」


名前はかかとを元の位置に戻して、部室にスコア板を取りに行ってしまった。


・・・おいおい。黄瀬は手広げたまま固まってるし、どうすんだよ!


「・・・とりあえず、蹴っとくか。」

笠松がいつもの勢いで黄瀬を蹴ると、思いの外飛び過ぎてしまい壁に顔面をぶつけてしまった。

「・・っぶ!」

「あ、わりぃ!」

やべーと言いながら黄瀬に近づくとなぜか笑顔の黄瀬がいた。


「うわ・・・。」

もう放っておこうかな・・・。

「笠松先輩・・・。」

「うわっ!なんだよ!」

黄瀬は急に立ち上がると俺の目の前に立って、キラキラとさせながら、そうそれはまるで天国にいるような感じで俺の肩を掴んだ。

「俺、今なら死んでも後悔しないっス!!」

「安心しろ。無事天国に行けたみたいだぞ。」

「!?」
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