「そーいえば、名前っちって笠松先輩のこと呼び捨てっスよね?先輩なのに呼び捨てで良いんスか?」
「は?」
「だって・・・!笠松先輩、名前っちの先輩でもあるのに呼び捨てなんて、仲良いみたいで悔しいじゃないっスか・・・!」
「いや、私3年だから。」
「え。」
・・・。
名前っち、先輩だったんスかー!?
だから1年の教室全部周ってもいなかったんスね!
・・・てことは、俺、名前っちのこと先輩なのに先輩って付けずに呼び捨てで呼んでたってことになるんスよね!?
めちゃくちゃ仲良さげじゃないっスか!!
「気持ち悪い。ニヤけてるの気持ち悪い。」
「なんで2回言ったんスか!?しかも酷いっ!」
もう名前っちって呼ぶのに慣れちゃったし、先輩つけなくてもいいっスかね!?
いや、でも先輩なのに・・・!
どうする、黄瀬くん・・・!
「名前っち!名前っちって呼んでいいっスか!?」
「呼び始めたときからやめてって言ってるよね。馬鹿だよね。」
「っそ、それは俺が後輩だからっスか!?」
「いや、『っち』が気に食わない。」
「じゃあ、これからも名前っちって呼んで良いってことっスね!!」
「やっぱり馬鹿だよね。」
はぁーっとため息をついて、日誌を書き始める。
早めに書いて早く帰りたいのに・・・。なんで黄瀬はまだ帰んないだろ。
「名前っち、何組っスか!?明日、名前っちのクラス行くっス!!」
「え、じゃあ教えない。」
「えぇ!?なんでっスか!?」
日誌から目を離さずそう告げる。
「よし。終わり!じゃあ私帰るから、戸締りよろしく。」
「えぇ!?一緒に帰らないんスか!?それ目的で待ってたんスよ!?」
「鍵パース!」
「ナイスキャッチ!・・・って違うっスよ!!」
名前に渡された鍵を使って急いで戸締りを済ませ名前を追いかける。
「・・・いないっス・・・。」
だが、もう名前の姿はなく結局1人で帰ることになってしまった。