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「名前、さっきからなんなのだよ」

「真ちゃん、私ずっと気になってたことがあるんだけど・・・。」

「・・・?」

無言で緑間を見つめていた名前はそう言うと緑間の顔にゆっくり手を伸ばした。

「なっ」

だが顔に手を伸ばすと、身長差のせいか必然的に密着してしまう。
名前はかかとを上げて、緑間の袖の部分を掴み、緑間の頬に触れた。

「な、な、なっ!」

名前は触れた指をそのまま上に上げていき緑間の下睫毛に触れた。

「下睫毛、凄く長い。っえい!」

「って、名前お前は何をしているのだよ!」

「真ちゃんの睫毛引っ張ってる。」

「そうではない!くっ付きすぎなのだよ!!」

下睫毛をひっぱる名前から逃れ、名前と少しの距離をあける。

「そもそもだな名前!ここは学校であって、こんなにみ、み、密着するなど・・・!」

「照れちゃって、真ちゃん可愛い。」

「照れてなどいないのだよ!!」


だいたい名前はいつも突然なのだよ!俺の気も知らずにそうやって動揺させて・・・!
一瞬キスされるのではないかと思ってしまったではないか・・・!


「あっれー?真ちゃんそんな顔赤くしてどうしたのー?」

「なっ高尾!」

「あ、和くん。」

このタイミングで来るだと!?相変わらず空気の読めないヤツなのだよ!

「何々?なにやってんの?」

「真ちゃんの下睫毛長いのが気になったから引っ張ってた!」

「ぷっ。相変わらず名前おもしれぇー!!で、身長的にも密着して、真ちゃんが照れてるってわけか!ホントツンデレだよなー。」

「なっ俺はツンデレではないのだよ!!」

そもそも俺がお前にデレたことがあったか!?確かに名前に対しては・・で、デレというかなんというか・・・とにかく、高尾、お前には言われたくないのだよ!!

「ツンデレいいじゃん!私、好きだよ!」

「・・・っな!」

「っぶは!・・・だってさー真ちゃん、良かったじゃん!」

「何が良かったのだよ!・・だが、まぁ、つ、ツンデレと言うことを許してやらんこともない。」

「っぷ。なんだそれ!」


名前がツンデレが好きだったなど初めて聞いたのだよ・・・!なら、俺はこのままの性格でも名前に好かれる可能性があるってことなのか!?いや、もしかたらもう・・・!

「和くんはー、んー。・・・下睫毛普通だね。やっぱり真ちゃんの下睫毛凄いよ!いいな〜。」

「っうおわ!急に近づくなって!」

ずっと自分にあった視線が高尾に向いたかと思えば、名前は高尾に顔を近づけ下睫毛を見ていた。


・・・高尾、お前、近すぎるのだよ!!

「名前!高尾には下睫毛はないのだよ!そんなに見たいなら俺のを見ればいいだろう!」

「いや、あるからね!?」

「だから離れるのだよ!!」

高尾の下睫毛を見ていた名前の肩を掴み、自分の方に向け、名前の顔に自分の顔を近づけた。

「これで見えるだろう!」

「うぇ!?」


・・・って俺は何をやっているのだよ!!勢い余って名前の顔に近づけ過ぎたのだよ・・・!

勢いよく顔を近づけたせいか数センチ先には名前の顔がある。しかも見ている場所が下睫毛な為か、近距離でお互い見つめ合っているかのような状態になってしまった。


「真ちゃん積極的ー!男前ー!!」


「・・・」


高尾がいるのを忘れていたのだよ・・・!



「す、すすすすまない!俺は教室に戻る!!」

「あ、待って!」


自分の行動が恥ずかしすぎてこの場から去ろうとした緑間だったが、名前に学ランの先っぽを掴まれ、進むことができなくなった。

「な、なんなのだよ!」

「ありがとう、真ちゃん。じゃあ、また後でねー!」

お礼の言葉と共ににっこりと微笑まれ、言葉をなくす緑間。名前が緑間の前から姿を消しても、そこから動くことはせずじっとしていた。

「おーい。真ちゃん、名前もう行っちゃったよ。」

「・・・!」

高尾に声を掛けられ動くことはできたが、さっきの名前の笑顔が頭にチラつき徐々に顔を赤くしていく。

「また赤くなってるし。」

「う、うるさいのだよ!!」

「あ、待ってよ!真ちゃーん!!」



学ランの先を掴んで、あの笑顔を向けられて、名前は俺を殺す気なのか・・・!?
かに座の今日の運勢で恋愛運が以上に高かったから期待はしていたが、まさか、ここまでとは・・・!

「真ちゃん、顔ニヤけてるぞー」

「うるさいのだよ!!」

end
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