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「あの二人って・・・付き合ってたわよね?」

「あー確か2か月ぐらい前から付き合ってるって言ってたな。」

「・・・で、あの距離?」

「・・・」


名前と日向が一緒に登校しているのを発見したリコと伊月。
名前達は並んで歩いてはいるがその間は一人分くらい入るスペースが空いている。

「順平くん。今日は練習見に行ってもいいかな?」

「・・・!お、おう!じゃ、じゃあがんばんねーとな!」

「何ってるの!いつも頑張ってるじゃん!知ってるよ、私。」

「い、いいいや!そんな!」

「・・・何あれ。もっとシャキっとしなさいよ!どもりすぎじゃない!!」

「ちょっ。聞こえるって!静かに!」


その後も二人の会話を聞きながら登校し、学校に着いた。



放課後

「日向くん。今日は部活名前が見に来るんでしょう?」

「な、なんで知ってんだよ!?」

「朝聞いちゃった!」

「は!?いたのかよ!?・・・うわぁー!!」

リコにそう言われ恥ずかしさのあまりその場に蹲る日向。
と言ってもただ一緒に登校しているのを見ていただけなのだが。

「あんたね、そんなんじゃなんも進展しないじゃない!もっと積極的になりなさいよ!折角告白してOKもらえたのに、なんも変わってないじゃない!!」

「んなこと言われたって!可愛すぎんだよ!!ダァホ!!」

「なに逆切れしてんのよ!!・・・とにかく、もっと積極的になってもいいんじゃない?」

「・・・嫌がられたらどうすんだよ・・。」

「そん時はそん時。男でしょ。当たって砕けなさい!!」

「砕けたくねぇよー!!」


泣きながら壁を叩きだした日向を放っておき、笛を鳴らす。

「集合ー!!」



あれから部活も終わり片づけをし始める。
すると黙って練習を見ていた名前が日向の方に向かって歩いてくるのが見えた。


「ん?名前、どうした?」

「部活お疲れ様!」

「おう。サンキューな!」

「順平くん、今日何か予定ある?」

「今日か?・・・特にはないけど、どうした?」

「ホント!?良かった!!今日ね親が旅行に行ってて誰もいないんだ。だから1人じゃ寂しいし、もし良かったら泊りに来て欲しいなって思って!」

「・・・・は?」


何を言われたのかいまいち理解できていない日向は、時間が止まったかのように固まった。
そして、近くにいたリコや他の部員達も同様に固まっている。


「ダメかな・・・?」

「あ、いや、そういうわけじゃ・・・!でも・・・!」


そりゃだめに決まってるだろー!!て、手さえ繋いだこともないのに、いきなり家!?
名前のことだからそういうことはなんも考えてないんだとは思うけど、やっぱダメだろ!?

「やっぱり急すぎたかな?ダメなら、いいんだ・・・。」

「い、いや!大丈夫だ、分かった泊まろう!」

「ホント!?良かったー!!」


悲しそうに下を向き俯く名前を見て咄嗟にそう言ってしまった。
彼女の悲しそうな顔を見れば否定などできるはずもない。

まぁ、喜んでるし、大丈夫だろ!

名前の喜んでいる顔を見て、これで良かったと無理やり納得し、これからどうするかを考える。


・・・でも、手を出さない自信がねぇ・・・!!



名前宅


「お、お邪魔します!」

「うん。どうぞー!!」

名前の家に着き、緊張しながら名前について行くと可愛らしい部屋に案内された。

「ここ私の部屋。荷物はここに置いて!」

「お、おおおおう!」


なんとなくそうかな、とは思ったけど・・・。名前の部屋・・・!!
うわあぁぁ、か、可愛い!!部屋まで可愛い!!

「じゃあ、私お風呂の準備してくるから、ここでちょっと待ってて!」

「えっ!?」

振り向けば既に名前は風呂場に向かったのか、いなくなっていた。
一人取り残され自分はどこに座って待てばいいのか悩んでいた。

・・・ベットの近く、はダメだよな。
ってか俺、どこで寝かされるんだ・・・?

「お待たせ!って立って待ってたの?」

「!?」

色々考えているうちに結構時間が経っていたらしい。
いきなり名前に話しかけれて肩をビクっとあげて勢いよく名前を見た。

「部活で疲れたでしょう?先に入っていいよ!」

「あ・・・。お、おう!んじゃ入るわ。」

名前に笑顔で手を引かれ風呂場まで案内される。
タオルや着替えを用意され、軽く説明を受け風呂場に1人残る。

「・・・名前が、ここで・・・!」

・・・って俺は何を想像してんだ!!

頭をブンブン振って邪な考えを頭から追い出す。

・・・ダメだ!早めに上がろう!!



日向がお風呂から上がり、名前の部屋に戻る。
次は名前がお風呂に入るため名前が風呂場に向かった。

「はぁ・・・。絶対心臓もたねぇ・・・。」

名前がお風呂に入っている間、名前の部屋で1人待っている日向。
気が気ではない。

・・・名前の風呂上りとか、絶対ヤバいだろ・・・!

頭の中で名前の風呂上りを想像しては、頭を振るということを繰り返していた。

「ごめん、順平くん!うっかり着替え忘れちゃった!」

「・・・?」

「こんな恰好でごめんね。」

「っ!?」


ドアの向こうから聞こえる声に反応し、名前が上がったのかとドアに視線を向ければ、ドアの開いた先にはタオルだけを身にまとった名前がいた。

・・・な、なななななんつー恰好で・・・!?

「よいしょ」なんて言いながら、しゃがんで自分服を手に持つ名前。

・・・しゃがむなー!!!おまっ見えたらどうんすんだよ!?


「着替えてくるからちょっと待っててね!」

顔を真っ赤にして名前を凝視する日向。笑顔で去っていく名前は何も気にしていないのか普通に風呂場に戻って行った。

「・・・あいつは、俺を殺す気か!?」

手を顔に当て自分の顔を覆い隠すようにして蹲る。

幸せだけど、辛い・・・。



「お待たせ!」

「お、おおおう!」

着替え終わった名前を見ると、頬は赤く染まり、唇も赤みを帯びていた。
さっきとはまた違った色気を感じ目線に悩む。

「隣、座っていい?」

「お、おおおう!」

「ふふ。今日はいつよりドモることが多いね。」

微笑を浮かべる名前を、近くで見て心臓が高鳴る。
目線は自然と唇にいき、そこに触れたいという欲望が高まった。

やばい、今すっごくキスがしたい・・・!
でも、嫌われたくないし・・・。
付き合ってるからいいのか!?

「な、なぁ・・名前。」

「ん?なぁに?」

思い切って名前に聞いてみようかと思ったが、ニコニコと純粋な笑顔を浮かべる名前を前にして、その先の言葉が出なくなってしまった。

「あ・・、いや。その・・。」

「・・・?」

日向が言葉を濁すと名前はコテンと首を傾げ日向を見つめた。
その様子を見た日向はゴクっと唾を飲み込み、名前を見つめる。

「目、と、閉じてくれるか?」

「え?うん。いいよ!」

名前は素直に目を閉じ何をするか待っている。
あまりにも素直に目を閉じる名前を見て、このままキスをしていいのかと躊躇してしまう。だが、名前の赤く染まった唇を目にして、欲望の方が上回り名前にゆっくり近づいていく。

「・・・ん?」

名前に軽く口づけすぐに離す。
名前は何が起きたのかいまいち分かっていない様子だったが、日向は顔を真っ赤にしながら名前から高速で離れ、1人心臓を落ち着かせていた。

・・・き、きききキスできた・・・!
凄い軽くだけど、触れた・・・!

自分の唇に指をあて、感触を思い出す。
後ろにいる名前に目を向ければいまだに分かっていないのか首を傾げていた。

・・・次、するときは名前に分かるように、だな・・・!

そう心のなかで目標を立てた日向だった。

おまけ

翌日

「ちょっと、日向くん!!昨日どうだったのよ?」

「ど、どどどうだったて、別になんもねぇよ!!」

「おい日向、嘘つくなよ!目が泳いでるぞー。」

学校に着くなりリコと伊月に詰め寄られる日向。

「どこまでいったのよ!!もったいぶってないで教えなさい!!」

「だーかーらー何もないって!!」

「ふーん。じゃ、キスは?」

「っぶ!!」

リコがそう言うと日向は吹き出し、勢いよく2人を見る。

「し、ししし、してねぇ!!」

「そう。やーっとキスはできたのね!!」

「!?」

「日向ー。顔赤いぞー!」

日向はその日1日中からかわれていた。

end
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