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「名前っち!!遊びに来たっス!」

「・・・・はい?」


どうも、お久しぶりです。腐女子こと苗字名前です!

なんやかんやあって美少年の黄瀬くんと付き合うことになりました。
でも学校も違うし、お互い部活もあるということでなかなか会えずにいまして、自分がリア充だということを忘れていました!!

だって黒子くんと火神くんが毎日イチャついてるから!そっちに気をとられてたんだよー!!


黄瀬くんから来る大量のメールのうち1割しか返信してないとか、電話が掛かってきてもスルーしたのは悪かったと思ってる。でもね、いいとこだったんだよ!ゲームが!!出たくても出れなかったんだよ!!


だからって、まさかの自宅訪問ですか!?


「名前っち部活休みっスよね!これからデートなんてどうっスか!?」

「え、ちょ、なんで知ってるの!?てか、で、デート!?」

デートとかなんかリア充っぽい!嬉しい!
しかもデート言えば・・・スチルたくさんの予感!!

「黒子っちに(無理やり)聞いたっス!」

「んな!」

「(んな?)じゃあ、準備してきてくださいっス。待ってるっスから!!」


背中を押されて家の中に入れられた。そう言えばずっと玄関で喋ってた!!

黄瀬くんを玄関で待たせるのも悪いと思って家に入れようと思ったけど、背中を押しながら既に家に入ってきてるからいっか。

「・・・準備してくるからそこで待ってて!あ、そこリビング!」

「了解っス!」

よし、高速で準備せねば!!



「黄瀬くん!お待たせー!」

あれから着替えて、軽く髪を巻いて、薄く化粧をした。もちろん高速で。

リビングのドアを開けて黄瀬くんを見るとなぜか私の方を見たまんま何も言わない。
珍しいな。いつもうるさいのに。
もしかして、手抜きすぎてお前そんな恰好で俺の隣歩く気かコノヤロー見たいな!?

「き、黄瀬くっん!?」

とりあえず謝っとこうと思ったら黄瀬くんにガバッと抱き着かれた。

「え?え?何っ!?」

「名前っち!可愛いっス!!いつも可愛いけど、もっと可愛いっス!」

「え!?」

力が強すぎてちょっと背中が痛い。ってか何言ってるかよく分かんないし、密着度ハンパないよ!?
そしていきなりスチル!?

「よし!じゃあデートに出発!」

抱き着かれた勢いのまま手を繋がれて焦った。
まさか、手を繋ぐとは・・・!


「ちょっと遠いっスけど、その分名前っちと手繋いでられるし、いいっスね!」

黒縁の眼鏡を掛けながらニコっと笑いかけられる。
・・・ん?眼鏡?

「あれ、黄瀬くん目悪かったっけ?」

「悪くないっスよ!変装っス!」

変装!?
黒縁の眼鏡とか萌える!!とか思ったけど、変装!?
おしゃれとかじゃなくって、変装!?
お前何者だし!!

「・・・名前っち、もしかして俺のこと知らないんスか!?」

「いやいやいや。知ってるよ!黄瀬くんでしょ!」

・・・はっ!もしかして黒子くんにバレないようにする為とか!?

「そういう事じゃなくって、俺モデルやってるんスよ!!」

「・・・はい?」

モデル・・?
確かに見た目いいし分かるよ。
でも、え、じゃあ、私モデルと付き合ってるの!?


「やっぱり俺のこと知らなかったんスね。・・・ちょっと悲しいっスけど、そういうとこ名前っちらしくて好きっスよ!」

「あ、ありがとう・・・」

ダメだ。知らなかったとはいえモデルと付き合ってるとか・・・頭が追いつかない!!



そんなことを話しているうちに大きい建物の前に着いた。

「・・・水族館?」


イルカを推しているのか、ファンシーなイルカの像が目立つ建物。
私たちは水族館の前に立っていた。


「彼女と来てみたかったんスよ!!」

パッと隣を見ると黄瀬くんがキラキラしていた。比喩とかじゃなくて本当に輝いてる。
そんなに来たかったのか・・・。


入場券を買って中に入ると、厚いガラスの先には多くの種類の魚が泳いでいた。
普段なかなか見ることができない魚たちばかりでテンションが上がる。


「すごい!あ、あの魚おもしろい顔!!」

「名前っち、こっちの魚は変な顔っスよ!!」

「えぇ!?その魚可愛いじゃん!」

「えっ!?そうっスか!?」

はしゃぎながらもどんな魚がいるのか探していると、少し先にもっと大きい魚が見えた。
しかもガラスの幅や高さが今まで見ていたものより遥かに大きい。


「ね、あっち行ってみよう!」

「わっ!?(名前っちから手握られた!)」

名前は無意識に黄瀬の手を取り、目的の場所まで連れて行く。

「わーっすごい!・・・ん?あの魚黄瀬くんに似てない?黄色いし!」

「え、そうっスか?って黄色いところしか似てないっスよ!?」


その黄色の魚は名前と黄瀬の前を優雅に泳ぎ、他の魚にピトっとくっ付いた。

「あ!(あの魚は黒子くんに似てる!!黄瀬くんが黒子くんにくっ付いた!)」

「あ!(あの魚は名前っちスね!名前っちにあんなにくっ付けるなんて・・!羨ましいっス!!)」

「「・・・ん?(もしかして、同じこと考えた!?)」」


は、恥ずかしい・・・。


「名前っち!昼、昼ご飯行かないっスか!?」

「そ、そうだね!うん!お腹すいたしね!」

ぎこちなく水族館を出て、昼食を済ました。

その後はイルカショーを見たり、水族館の周りにあるちょっとしたイベントに参加たりしていた。
いつの間にか空はオレンジ色になり、時間が結構経っていたことに気づく。


「もうこんな時間かぁ。明日部活あるし、そろそろ帰る?」

「そうっスね」


水族館からの帰り道、すっかり日も沈み薄暗くなってきた。

「もう暗いし、家まで送るっスよ!」

「え、私大丈夫だよ?(道分かるし)」

「ダメっス!名前っちが家に入るのを見届けないと、心配で心配で・・!」

「・・・じゃあ、お願いします」

黄瀬くんも明日部活だし、疲れてると思ったから言ったのに・・・。
そこまで力入れて心配されたらもう送ってもらうしかないですよね!?
いや、嬉しいよ!嬉しいけどさ、申し訳なさすぎるよ・・!


「名前っち!次は遊園地と映画どっちがいいっスか?」

「え?(もう決めるの!?)・・・うーん、黄瀬くん決めていいよ」

「あ!!」

「!?」

黄瀬くんがいきなり大声出すから、かなり驚いた。
今日の中で一番心臓飛び出しました。

「俺のこと苗字じゃなくて、名前で呼んで欲しいっス!」

「えぇ!?む、無理無理無理!!もうこの呼び方で慣れちゃったし!」

「えー!でも名前っちに名前で呼ばれたいっス・・」

う・・。そんな大袈裟に落ち込んだって、無理なんだからっ!
とかごめんなさい。ちょっとツンデレになりきってごめんなさい。


ん・・?でも待てよ。確か黒子くんは黄瀬くんのこと苗字で呼んでたし、私が黄瀬くんのこと名前で呼んだら・・・。
・・・かなり優位に立てるんじゃ!?
しかも、黒子くんが嫉妬してるとことかも見れたりするかもしれない!
でもでも、そんなとこ見せられたら黄瀬くん押し出しちゃうよ!!
うー。それでも、見たい!!


「よし!分かった!私頑張るよ」

「名前で呼んでくれるんスか!?」

パァっと明るくなる。
感情の起伏が激しい奴だ。

「う、うん!・・・(とは言ったもののやっぱり緊張する!)」


・・・


「って名前っち!?溜めすぎっスよ!!」

「ごめんごめん。ちょっと緊張しちゃって!」


一度深呼吸をして黄瀬を見る。
そもそも男子を名前で呼ぶという事自体、何十年かぶりなのだ。
それなのにモデルをやってるイケメン彼氏を名前で呼ぶなんて、爆発レベルだよ!!


「・・・り、・・うた!」

「ちょっ、りうたって何スか!?俺涼太っスよ!?」


黒子くんの嫉妬姿を見るためだ!頑張れ私!!


「・・・り、りょう・・・た!(言えた!)」

「名前っちー!!」

まだまだぎこちなかったが、黄瀬にはそれで十分らしい。
その証拠に嬉しそうに名前に抱き着いている。

「っ(デジャヴだ!また背中が痛いーっ)」

「これからは名前っスよ!やっぱり彼女に名前で呼ばれると嬉しいもんっスねー!!」

分かったから抱き着きながら喋らないで欲しい。恥ずかしいやら痛いやらで本当に爆発します。

あれからなんとか離してもらい、家に帰ることができました。
途中何度も何度も名前で呼んで欲しいっス!と言われ何回か言っているうち慣れてきました。
そして次のデート先は遊園地らしいです。
部活とモデルの仕事があるのに・・・。
一体いつになることやら。

とりあえず、私は早く黒子くんの嫉妬している姿を見たいです!!

end
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