涼ちゃんとは色々あったけど、そのお陰で私はテツくんのことが好きだってことに気づくことができた。
そして、テツくんには彼女がいないってことも分かった。
でも・・・。
「これからテツくんにどう接すればいいの!?」
絶対テンパるよ!今までみたいに普通に接せれたらいいけど・・・。
「同じクラスだし・・・。うー、心の準備が・・・」
「教室の前で何やってるんですか?」
「・・・うわあぁぁ!!」
私が教室の前で中に入らずにじっとしていると、後ろから黒子が現れた。
もう中にいると思ってた・・・!まさか後ろからくるなんて!不意打ちすぎるよテツくん!!
「あ、いや、えっと・・」
「・・・?名前さん、顔赤いですよ。風邪ですか?」
顔を真っ赤にしてわたわたしている名前さんは凄く可愛いですけど・・・。
いつもと様子が違う気がします。
「ううん、全然元気!だ、だから風邪は引いてない!うん、元気!」
「・・・。」
あー!もうどうしよう!!いつも通り「おはよう」って言えばいいだけなのに!
テツくんに絶対おかしいと思われてるよ・・・!
「じゃ、じゃあ私行くねっ!」
「あ、名前さっ・・・。行っちゃいました・・・。」
今日は名前さんの様子がおかしいです。朝会った時も慌ててたし、目が合ってもすぐ逸らされるし・・・。
もしかして僕、名前さんに嫌われたんでしょうか?
・・・もうショックで立ち直れそうにありません・・・。
机にうつ伏せになって名前のことを考えてみる。だが、考えれば考えるほど悪い方に考えてしまい、黒子の周りにはドヨーンといた空気が漂っていた。
「うぉっ!?黒子!?お前、黒子か!?」
「・・・。」
「なんだよこの空気は!!」
「あぁ・・・。火神くんですか。」
「お前大丈夫か?目死んでるぞ。」
「大丈夫じゃありません。死にそうです。」
一瞬火神を見てすぐに逸らし、また机にうつ伏せになる。
確かに誰がどう見ても大丈夫という状態ではない。
「・・・ったく。何があったんだよ。どうせ苗字絡みだろ?」
「・・・僕、名前さんに嫌われたのかもしれません。」
「・・・は?」
いやいや、お前苗字に嫌われるとか一体何したんだよ・・・。
チラッと名前を見てみれば、名前は普通に笑って友達と話しているし、喧嘩したって感じでもない。
「名前さんに避けられて気がするんです。・・・しかも、目が合ってもすぐに逸らされるし、話しかけても逃げられました。」
「お前何かしたのか?」
「いえ、特には。」
ため息を吐きながら死にかけている黒子を横目にもう一度名前を見てみる。
すると名前の視線はこっちに向いていて、よく見るとその視線は黒子へと続いていた。
だが、名前は火神が見ていることに気づくと顔を真っ赤にして慌てて向き直った。
「・・・そういうことか。」
「独り言ですか?気持ち悪いですよ。」
「は!?ちげーよ!!・・・黒子、多分お前嫌われたわけじゃないと思うぞ。」
「なんですか急に?そんな慰めいりませんよ。」
「ちげーって!とにかく大丈夫だからそんな落ち込むなって!」
「無理です。」
・・・人が折角慰めてるのにこいつ・・・!
多分、苗字は黒子が嫌いなんじゃなくて寧ろその逆。あんな単純なのになんで気づかないんだよ!
恋愛経験なさすぎだろ!!・・・いや、俺もないけど。
「別に俺はいいけどよ、そんなんじゃ他の奴に取られちまうんじゃねーか?・・・黄瀬とか青峰に。」
「・・・!それは嫌です!・・・でも、嫌われたらもう、どうしようもないじゃないですか。」
「だからお前はダメなんだよ。まだ嫌われたって決まったわけじゃねーんだから、本人に直接聞いてこいよ。・・・とられたくないんだろ?」
「・・・わかりました。聞いてきます。」