「・・・え、なんでっスか!?」
「私、テツくんのことが好きなんだ。テツくんには彼女がいるけど、それでも・・・」
「え・・・」
名前っちは自分の気持ちに気づいていた・・・?そんなはずないっスよ!さっきまでそんな素振りなかったじゃないスか!!
「ごめんね・・・。付き合うことはできないけど、涼ちゃん、幼馴染としてこれからも一緒にいてくれないかな?」
スッと心の中にあった黒い感情が消えていった。
そうだ、付き合うことはできなくても、名前っちの傍にいることはできるじゃないっスか。それで、それで・・・。
ポタ
「・・・涼ちゃん?」
ポタ
でも・・・俺は彼氏として名前っちの傍に、いたかった・・・。
「涼ちゃん、泣いてるの・・・?」
俺の目からはいつの間にか涙が流れていた。
「・・・ごめんっス、名前っちを困らせたい訳じゃないんスよ!・・・ホント、情けないっスよね」
拭いても拭いても涙が止まらなくて、このままじゃ名前っちを困らせると分かっていても止まらなくて・・・。
「ごめん、ごめんね」
俺が必死に涙を拭いていると名前っちは俺の傍にいて、初めて、名前っちに抱きしめられた。
驚きで涙は止まったが、名前を好きという気持ちは消えるはなく、逆に好きだといういう気持ちが溢れ出した。
俺は、名前っちのこと諦められそうにないっス。こんなに好きなのに、忘れるなんてできないっスよ。
「・・・名前っち。俺、名前っちのこと諦められそうにないっス。だから、名前っちが黒子っちを好きでも俺は名前っちのこと、ずっと好きでい続けるっスから!」
名前の背中に腕をまわし、一度強く抱きしめた後ゆっくり離して名前の顔を真っ直ぐ見て言った。
「名前っちを好きな気持ちは黒子っちにも誰にも負けないっスから!・・・だから、正々堂々戦うっス」
「・・・?」
「・・・黒子っちは誰とも付き合ってないっスよ。」
「え、でも・・・」
さつきはテツくんの彼女だって言ってたのに?
涼ちゃんだって付き合ってるのかもしれないって言ってたのに?
「ホントは分かってたんスよ。黒子っちが誰とも付き合ってないって。・・・確かに昔から桃っちは黒子っちのこと好きだったんスけど、黒子っちはまったく相手にしてなかったっスよ。それに、黒子っちは否定してなかったっスか?」
思い出してみれば確かにテツくんは否定していた。
照れ隠しとかじゃなくて、本当のことだったんだ・・・。
「否定してたけど、照れ隠しだと思ってた・・・。そっか、付き合ってなかったんだ」
不謹慎かもしれないけど、安心した。
付き合ってないなら、まだ、私にも可能性がある・・・?
「これで、正々堂々勝負できるっスね!・・・名前っち、俺、負けないっスから!!」
涼ちゃんの笑顔がいつもの冗談を言うときのような笑顔で安心した。
ただ、苦笑するしかなかったけど。
「はいはい。まぁ、無理だと思うけどね!」
「相変わらず酷いっスよ!?」