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「それで、話したいことって何?」

青峰と体育館から出て、あまり人目のつかない場所に移動した。
私はその場で良かったんだけど、青峰くんがそれはダメだって言うからね。


「・・・お前、俺と会う時いっつも泣きそうな顔してるのはなんでなんだ?」

「え・・・。(そういえばあの時もそう言ってたっけ)ごめん。私にも分かんないんだよね。私はそんな顔してるつもり、ないんだけどな」

「それに、無理に笑ってるし」

「え、ごめん・・(やっぱりちゃんと笑えてなかったかぁ)」

「なんかさ、すっげー気になるんだよ」


それは、どういうことだろう・・・?


「あの時から、なんでそんな泣きそうな顔してんのかすっげー気になってた」

「?・・・うん」

「っで、今日また会って分かった」


青峰くんの目があまりにも真剣で、私は何も言うことができなかった。
ただ、その続きを待つことしかできなかった。


「俺がお前を、名前を笑わせる。・・・テツでも他の奴でもなく、俺が笑わしてやるよ。・・・まぁ、そういうわけだからこれから覚悟しとけ」


青峰くんは私の頭を少し乱暴に撫でて体育館に戻って行った。


「・・・覚悟って、なんの覚悟?」

あんな真剣な目をしていたから何を言われるかと身構えていたが、まさか「笑わせる」だとは思っていなかった。
緊張して損した気分だ。


「名前ー!!どこいるのー!!まだ片付け終わってないの!?」

「か、監督!もう終わりますー!!」


体育館の方から監督の声が聞こえ名前は急いで体育館に向かった。



体育館に戻ってきた名前は、残りの片付けを終えて帰りの支度をしていた。

「・・・すっかり遅くなっちゃった。皆は帰っちゃったし・・・ひとり、かぁ」

一人で帰るなんて久々だなぁ。いつもはテツくんと帰ってたし。でも今日はさつきと帰ってるんだろうな。


「何言ってるんですか。僕がいるじゃないですか」

「・・・うわあぁっ」

名前は驚きのあまり尻餅をついて幽霊でも見るような目で黒子を見た。
そんな名前に手を差し伸べながら黒子は「なにやってるんですか」と笑っていた。

「あり、がとう。・・・でもテツくん、なんでここに?」

「なんでって、いつも一緒に帰ってるじゃないですか。待ってたんですよ?」


私といつも帰っていたから、今日も待っていてくれたの・・・?
彼女のさつきを放っておいて?

不謹慎かもしれないけど、ちょっと嬉しかった。でも、やっぱりそんなのダメだよ。


「おい名前、帰り・・ってテツもいたのか」

「あー!!テツくんいないと思ったらこんなとこにいたんだ!途中まで帰ろうよー!!」

名前が何かを言いかけた時、青峰と桃井がお互いの探し人を見つけ名前と黒子に近づいた。

「・・・青峰くんまだ帰ってなかったんですね(最悪です)」

「ああ。遅くなっちまったし、名前送ってこうと思ってな」

「名前さんなら大丈夫です。僕が送っていくので」

「え、テツくん!私は!?」

さっきまでのシリアスな空気はなくなり、コミカルな感じになってきた。
私はいつ帰れるんだろう・・・。
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