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「黒子っち結構いい感じだったし、付き合ってるのかもしれないっスね!・・・名前っちはなんか聞いてないんスか?」

・・・なんて、ホントは黒子っちが付き合ってないってこと知ってるんスけどね。

罪悪感がまったくなかったわけではない。しかし、名前が黒子のことを好きにならないように先に手を打っておく必要があった。

きっと名前っちなら「そうなんだ!どんな人なの??」とか言って楽しそうにするんじゃないかと、その時の俺は思っていった。

「・・・あ、れ?名前っち??」

なのに、なのに・・・なんでそんな悲しそうな顔してるんスか・・・?


「え!?あ、ごめん・・。えっと、そっか・・・テツくん、彼女いたんだね!・・・あ、まだ分かんないんだっけ?」

なんで、なんで、なんでっスか!
あからさまに動揺して、無理に笑おうとして、無意識かもしれないっスけどそんなんじゃ黒子っちを好きだって言ってるようなもんじゃないっスか!!

「珍しいっスね。名前っちが恋愛話で盛り上がらないなんて・・・」

「そんなことないよ!ただ、テツくんとそういう話したことなかったから・・・ちょっと驚いたって言うかなんというか・・・」

「そうっスか。じゃあ、もう一つ恋愛話っス!!」

「・・・ん?」

いつものノリの黄瀬に戻り、話の流れも黒子から離れたことにより無意識に名前の表情が明るくなった。

「俺も、好きな子いるんスよ?・・・ずーっと前から片思い、なんスけどね」

「・・・え!?そうなの!?なんで言ってくれなかったの!協力するのに!!」


あーだめだ。今、凄く泣きそうっス。

「で、誰?芸能人??それとも同じ学校の人??」

黒子っちの時の反応と違いすぎっスよ。分かってたことっスけど・・・。結構きついもんスね。

「・・・どっちでもないっスよ。・・・内緒っス」

「ええー!じゃあ協力できないじゃん!」

「いつか、教えるっスよ!」

「えーケチ!」

「ケチ!?酷いっスよ!!」



「今日は楽しかった!久しぶりに話せたしね」

「久しぶりにしたのは誰のせいだと思ってるんっスか!」

「・・・あはは」

「あははじゃないっスよ!!・・・でも、俺も楽しかったっス!」


昔に戻ったみたいで、本当に楽しかったっス。
このまま今がなくなってまた昔に戻れたら、自分を見てもらえたかもしれない。

なんて、言っても無駄なんスけどね。

「じゃあ、また来るっス!」

「えー」

「ちょっ!そこは嘘でも「うん!」って言って欲しかったスよ!?」

「冗談だよ。またね!」



あれから黄瀬が帰り、名前はぬるくなった麦茶を飲みほし片づけをし始めた。
さっきまでうるさい黄瀬がいたからか、なんだか寂しい感じがした。

「テツくんに彼女かぁ・・・」

いいことなのに、なんで喜べないんだろう。
なんで、こんなに胸が苦しくなるんだろう・・・。

「帰り、二人で帰るのは辞めたほうがいいかな・・・。もし自分の彼氏が他の女の子と二人で帰ってたらちょっと嫌だし。うん、辞めよう!」
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