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「・・・9時・・・?寝坊した!?」

時計をみると小さい針は9を指していた。

・・・やばい!寝過ごした!遅刻するーっ!!

名前は急いで制服に着替え、軽く髪を整えて勢いよくドアを開けた。


「・・・うわ!名前っち!?そんなに急いでどうしたんスか!?」

「涼ちゃん!?なんでここに・・・?学校は!?」

「何言ってんスか?今日は日曜日っスよ!・・・で、今日は部活も仕事も休みだったんで名前っちに会いにきたっス!!」


今日、日曜日だったー!!制服に着替えちゃったよ・・・。ってか涼ちゃんちょっと笑てるし・・・。

「相変わらずドジッスね。まぁ、そういう所も好きっスけど!」

「・・・はいはい。」

遅刻すると思い、いつもより速く準備をした矢先に日曜日だったと知り脱力した。


「名前っち今日なんも予定ないっスよね!?久しぶりに名前っちの家入りたいっス!!」

「(そんな顔近づけなくても聞こえるのに)・・・まぁ、暇だし。いいけど。」

「よっしゃあ!!」



家の中に黄瀬を入れ、自分の部屋へ通す。
案内する途中、「名前っちの匂いーっ!懐かしいっス!」と変態発言をする黄瀬を無視し、名前は飲み物を取りに部屋を出た。

「ん?あれ、俺があげたウサギの人形・・・。まだ、持っててくれたんスね」

小学生の頃、ウサギが好きだと言う名前にウサギの人形をプレゼントした。
まだ小学生だったからお金なんてほとんどなく、ユーフォ―キャッチャーで上手な人を見て、見よう見まねでやってみたら取ることができのだ。

あの頃は名前と同じ学校で、毎日一緒に帰ったり、遊んだりしていた。
だから中学でも変わらないと思っていた。
一番近くにいるのは俺で、それはこれかもずっと変わらないと思っていた。


なのに、なんで違う中学に行ったんスか・・・?


「お待たせ!・・・深刻そうな顔してどうしたの?」

黄瀬の視線を追うと、その先にはウサギの人形があった。

「あぁ、あの人形。涼ちゃんからもらった最後のプレゼント、だよね。私の一番の宝物なんだ。・・・涼ちゃんは忘れちゃったかもしれないけど・・」

「忘れるわけないっスよ!!」

急に大きな声で言われ、ビクっと肩を揺らした。

「名前っち・・・。なんで、違う中学いったんスか?せめて、連絡くらいしてくれもいいじゃないっスか」

「・・・ごめん。」

「謝ってほしいんじゃないっスよ。・・・俺、ずっと探してたんスよ?」

「うん・・・。あのね、いつも涼ちゃん私といたでしょ?だから、女の子の友達凄く少なかったし、少しは他の友達とも遊びたかったんだ。だから涼ちゃんが嫌いだから、とかそんな理由じゃないんだよ!ホントに、ごめん」

・・・そんな理由、だったんスか・・・。俺、結構色々考えてたんスよ!?

「俺のこと、嫌いになったわけじゃないんスよね。じゃあ、もういいっス!!・・・その変わり、また名前っちと一緒にいてもいいスか・・・?」

できれば、彼氏として。そう言いたかったけど辞めた。
今はまだ名前っちは誰にも恋愛感情を抱いていない。そう思っていたから。

「もちろんだよ!!でも、程々にね」



それからは、昔の話をしたり、お互いの中学での話をした。

「へーじゃあテツくん、その頃からパスうまかったんだね!」

「そうっスよ!・・・て、テツくん?」

こないだまで黒子くんって呼んでたっスよね!?
もしかして、予想以上に黒子っち、本気ってことっスか。

「うん。名前で呼ぶことになったんだ!あ、もしかして嫉妬した?」

「・・・え!?」

こういうことには鈍い名前に当てられ内心焦った。

そんなに顔に出てたっスか!?

「なら涼ちゃんもテツヤっちって呼べばいいじゃん!」

「・・・。(そっちスか。)」

的外れなことを言った名前は置いておき、黄瀬はこれからどうしていこうか考えていた。
黒子が予想以上に名前と親密になっていることから、焦りを感じた。

「そういえば、帝光中の頃黒子っちのこと大好きな女の子がいたんスけど、今は付き合ってるんスかね〜」

「・・・え?」
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