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キュッキュッ

スパッ

体育館にスキール音とボールがゴールに入った音が響いた。

「火神くん!ナイスシュート!!」

名前の歓声を受け、じとっと黒子に睨まれ冷や汗が背中を伝った。

「・・・火神くん。苗字さんから歓声を受けたからっていい気にならないでくださいよ」

・・・こえーっ
ってか、俺が協力したこと忘れてねぇ!?



ガラガラ

「黒子っちー!!遊びに来たっスよー!!」

練習に励んでいた黒子たちは急に何事かとドアに視線をむけた。

まぁ、見なくても誰が来たかなんて分かるんですけどね・・・。


「・・・ん?え、涼ちゃん??」

「・・・え!名前っち!?」


・・・知り合いですか?ちょっとまってください、もしかして・・・

「久しぶりっスね!名前っち!!まさか誠凛に行ってたなんて知らなかったっスよ!聞いても教えてくれないし!しかもなんでメールに返信してくれないんスか!幼馴染なのに酷すぎっスよ!!」


・・・やっぱりー!!!!

「だって、めんどくさかったし。言ったら涼ちゃん来るでしょ?(女の子の視線が痛いし、嫌なんだよね)」

「当たり前じゃないっスか!」

「・・・はい、ちょっと待って!!今は練習中よ。邪魔するなら黄瀬くんは帰ってちょうだい。・・・っで、あなた達、幼馴染なの?」

名前と黄瀬の間にリコが入り、全員の視線がリコに集まった。

「そうっスよ!でもただの幼馴染じゃなくて、俺の彼女っス!!」

「堂々と嘘つかないでよ!!ただの、幼馴染ですよ!ただの!!」


・・・一瞬、黄瀬くんに殺意が沸きました。
でも、なんだか楽しそうで羨ましいです。

「(これは、強敵なライバルね・・・)そう。まぁ、いいわ!黄瀬くんも練習参加する?」

「いいんスか!?じゃあ名前っち!俺のプレー見ててくださいっス!!」

「えー、涼ちゃん見るなら、黒子くん見るよ」

「えぇ!?なんで黒子っち!?」

急に自分の名前が挙がり黒子はバッと名前を見た。
その時ちょうど黄瀬は黒子の方に顔を向け、何でなんスか!?と黒子に詰め寄りだした。

だが黒子は固まっているため、黄瀬に肩を掴まれガクガクと揺らされてもいつもの
嫌味を言うこともなく、じっと名前を見つめていた。

「・・・黒子っち!?・・・そういうことっスか。いくら黒子っちでも負けないっスよ」

「なんのことですか?練習、参加するんですよね。早くやりましょう」

黄瀬の急に低くなった声によって現実へと戻ってきた黒子。
黄瀬は一瞬目つきが鋭くなったが、すぐにいつものように戻り名前に近寄った。

「名前っち!行ってくるっス!」

「はいはい。頑張って」



「はい!練習、終了!!・・・で、確か苗字名前だっけ?アンタちょっとこっち来なさい」

「え?私ですか?」

黄瀬の猛烈なアピールが含まれた練習も終わり、帰りの支度をしているとリコが名前の腕を引っ張り体育館の隅に連れて行った。

「名前ちゃん、でいいわよね!っで、黄瀬くんとは本当にただの幼馴染?」

「はい。ただの幼馴染ですよ」

「じゃあ、黄瀬くんが好きとかそーいうのもないのよね?」

「幼馴染としてはもちろん好きですけど、恋愛的にはないですね!」

キッパリと言い放つ名前に内心リコは黄瀬に同情していた。

・・・黄瀬くん、アンタ意外とかわいそうな恋してたのね。
これだけ相手にされてないとさすがの私でも同情するわ。

「あっ。もしかして、監督涼ちゃんのこと・・・」

「それは絶対ない」

「・・・(まだ途中までしか言ってないのに)そうですか。じゃあ、話はこれだけですか?」

「あ!そうだった!名前ちゃん、マネージャーやる気ない??」

「えぇ!?」



二人がコソコソ体育館の隅で話している間、黒子達は更衣室で着替えていた。

「黒子っち!俺、黒子っちに負けないっスよ!」

「またですか。だから、なんのことですか」

「俺と名前っちはもう深い仲なんス!一緒にお風呂だって入ったことあるんスよ!!(幼稚園の時)」

「!!(う、羨ましい・・・)・・・ど、どうせ幼稚園ぐらいの話でしょう?」

「(ばれた!)・・・そ、そんなことないっスよ!!」

「じゃあいつだって言うんですか?言ってみてくださいよ」

「〜〜〜〜っ」

まったく。僕だって、初めて好きになった人なんですから、黄瀬くんにも誰にも負けませんよ。
まぁ、とりあえず・・・黄瀬くんは潰さないといけませんね。

「・・・(なんか寒気がするっス!!)」
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