「お待たせしました。ごめんなさい。遅くなってしまって」
「大丈夫だよ!そんなに待ってないし」
リコに追い出された黒子は足早に名前の元に向かった。
「苗字さんの家どっちですか?送りますよ」
「そんな。悪いよ!同じ方向ならいいんだけど・・・私の家はね、こっち」
指を指した方は運よく黒子の家と同じ方向だった。
良かった。これで苗字さんに気を遣わせなくてすみますね。
「僕もそっちなんです。じゃあ帰りますか」
とは言ったものの、苗字さんと二人で帰ってると思うと何を話せばいいのか・・・。
そうだ・・!
「あ、あの苗字さん!もし、良かったらなんですけど、アドレス・・・とか・・・」
アドレスの部分から急激に声が小さくなり、ゴニョゴニョとなってしまった。しかも無表情な為感情もまったく分からない。
「(後半聞こえなかった!)・・・そうだ!良かったらメルアド教えて?今度練習だけじゃなくて、試合も見に行きたいなぁって思って!」
「・・・!」
「ダメかな?」
心配そうに首を傾げる名前を目の前にし、ボンッと顔から蒸気が上がった。だが名前は気づいていないのか、返事が返ってこない黒子を不思議そうに見ていた。
「・・・あ、は、はい!その、これ僕のアドレスです。」
震える手でアドレスを送信し、無事交換が終わった。
「ありがとう!じゃあ練習とか試合見に行くときメールするね」
「・・・・はい!」
無事アドレスも交換ができホッと一息つくも、次は何を話せばいいのか頭の中で考えを巡らす。
「・・・私さ、色んな部活見学してるんだけど、一番、バスケ部見るのが好きなんだ」
「・・・え!(好き!?)」
不意打ちだった為か好きという部分に過剰に反応してしまった。
「私の幼馴染がさ、バスケやっててよく見てたんだ。そいつそこそこ(結構かな?)上手だから。それ見てて、凄いなぁって思ってたんだけど、黒子くんのバスケ見たらまた違った感じで、見てて凄く楽しかった!」
「・・・あ、ありがとうございます」
そんなに褒められると、どうしたらいいのか分からなくなりますよ!
でも、今なら死んでも後悔しないかもしれません。・・・嫌ですけど。
・・・バスケ、続けて良かったです!!
「・・・だから、これからも頑張ってね!・・・じゃあ、私の家ここだから。ありがとう、送ってくれて!明日も練習、見に行くね!じゃあ、また明日!」
「あ、はい!さよなら!(い、いつの間に!?)」
苗字さんの家は学校からそんなに遠くなかったからか、思ったよりも早く着いてしまった。
・・・もう少し、話したかったんですけどね。
今日もバニラシェイクを食べてから、帰りますか。
バニラシェイクを買い、いつもの席に座った。
窓から外を見ると、さっき名前と二人で通った道が見え、ポッと頬を赤く染める。
ドカッ
窓を見ていると、いつも通り火神が黒子の前に座り大量のハンバーガーを食べていた。
・・・またですか。
「・・・火神くん。不本意ながらもお礼を言います。ありがとうございます」
「・・・うおぉわ!?お前いつの間に!?」
「もうそのくだりいいんで。・・・苗字さんの好きなものは聞けませでしたが、アドレスは聞けましたよ」
「・・・あ、あぁ、そうか。良かったな!」
「・・・ただ一つ気になることがあって・・・苗字さんの幼馴染って知ってますか?」
幼馴染の話をしていた時の苗字さん、嬉しそうでした。・・・その人が男だったら、ちょっと嫌です。
「あいつに幼馴染なんていたのか。聞いたことねぇし、他校なんじゃねぇのか?」
「・・・そうですか」
・・・幼馴染、誰なんですかね?