どうしようどうしよう!!
ボトルを洗いに来たら、まさか黄瀬くんがいるなんて!誰が思うよ!?
気まずい・・・。非常に気まずいよ。
名前はボトルを洗うか、仕事を放棄して帰るかで迷い、黄瀬から見えない位置でオロオロしていた。
「・・・名前っち。いるんスよね」
「・・・!」
気・づ・か・れ・て・た!!
「あ、えと・・その・・うぇ!?」
黄瀬に声を掛けられ一歩前に出ると、黄瀬は思ったよりも近くおり、なんて声を掛ければいいのか分からずにいると、黄瀬に抱きしめられ変な声が出てしまった。
「(な、なななな!!・・・BLが乙女ゲームに!?)」
「・・・ごめんなさいっス。でも、今はこのままでもいいっスか?」
緊張で声が出ない名前はゆっくり一度頷くと、黄瀬は腕の力を強めて名前の首に顔を近づけた。
「(ちょっ!く、首ー!!)」
「かっこ悪いとこ、名前っちに見せちゃったっスね。」
「え・・・?黄瀬くん、かっこ悪くなかったよ?」
それよりも今の体制をなんとかして欲しいんですが・・・!
「負けたんスよ!?」
急に大声で言われ、グッと肩を掴まれた。
顔が名前の首から、名前の目の前に移動し、黄瀬が泣いていたことに今気が付いた。
「負けたからって、かっこ悪いとかはないと思う。最後まで諦めずに頑張ってた黄瀬くん、凄くかっこよかったよ!黒子くんのことも・・・またリベンジすればいいじゃん!」
「名前っち・・・」
よし、何気なく黒子くんを諦めるなって伝えられたし、あとはこの乙女ゲームっぽい雰囲気さえなくなれば・・・!
「・・・え」
黄瀬と距離をとろうと肩を掴んでいた手に触れる直前、名前の目にドアップの黄瀬が映った。
「・・・え?え?」
「・・・ごちそうさまっス!」
黄瀬はそう言うと、固まって動かない名前を残し足早にどこかに行ってしまった。
「・・・キス、された」
な、なんで!?え、キス?ちょ、初キスだったんですけどー!?
「・・・これ、何フラグだし」