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「おーいっ!起きてー!ご飯だよー」

「・・・ん、・・ん!?」


ガバッと机からから顔を上げるとニコニコと笑う名前っちがいた。

「そんなに驚いた顔してどうしたの?ご飯食べようよ!」

「え・・んーあれ?」

自分でもなんでこんなにも驚いたのかよく分からない。
いつも通りの光景で、相変わらず俺の隣には名前っちがいて、なにも可笑しなことなんてないはずなのに・・。


まぁ、でも名前っちが笑ってるからいっか。


「もう俺お腹ペコペコっスよー。今日も名前っちのお弁当食べれて俺幸せっス!」

「ぷ。おおげさだよ!」


そう言って屋上に登って二人でご飯を食べる。
さっき感じた違和感は今はもうどこかに消えていた。





「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんお菓子ー」

「はい」

「あぁ!またそうやって・・!それは名前っちが俺の為に作ってきたやつなんスよ!?」


部活が終わって部室でのんびりしていると後ろから紫原に声を掛けられ、名前は作ってきたクッキーを渡す。
毎日何かしらを作っては持ってきている名前に紫原が声を掛けるのは毎日のことだった。
そして、それを見て怒る黄瀬もいつものこと。


「おっ、うまそーじゃん」

「あぁ!青峰っちまでー!」

名前の後ろからクッキーを取って口に運ぶ。
それを何回か繰り返した青峰は満足したのか自分のロッカーに戻った。

「もうダメっスよ!?名前っちもちゃんとガードしなきゃダメっスよー!!」

「まだまだたくさんあるから大丈夫だよ?涼ちゃんもどうぞ」

「じゃ、いただきまーって違うっスよ!名前っちが作ったのは俺しか食べちゃダメなんスよ!」

「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん、もっとちょーだい。・・・いたっ」

クッキーを急いで頬張りクッキーに伸びてきた紫原の手を叩き落とす。

「こらっ!涼ちゃん意地悪しないの!」

「黄瀬ちんいじめっ子ー!」

「・・・でも、名前っちのクッキー・・俺のだもん」

名前に怒られ目に涙を溜め震えながら名前を見つめる。
しかもまるで捨てないでと訴える子犬のような顔で。

「・・・もう。明日涼ちゃんの好きなものたくさん作ってあげるから。・・泣かないで?」

「!ホントっスか!?」

「うんいいよ」

「じゃ、じゃあ何にしようかな、うーんと、えーと」

「俺ねーポテチとークッキーとーあとー」

泣きそうな顔をしていた黄瀬は一変して、ニコニコと何を作ってもらおうか考えていた。
その隣でちゃっかりリクエストしている紫原の声も聞こえていない。

「あ、名前さんそのクッキーもらっていいですか?」

「ん?はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

残り最後のクッキーを食べられたことに気づくのはいつのことやら。
今だにあれにしようか、これにしようかと悩んでいる黄瀬だった。

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