「・・・紫原、今日一日名前を貸してほしいのだが・・」
「ミドチン何言ってんの?だめだよ」
横にいた名前を自分の後ろに引っ張り、まいう棒を食べながら緑間を睨む。
「何々?なんか面白そう!なんで私を借りたいの?」
「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん、っしー!全然おもしろくないよー。」
ぴょこっと紫原の横から顔を出しニコニコしながら緑間を見つめる。
だがすぐに紫原にもとの位置に戻され、紫原の背中しか見えなくなってしまった。
「今日のラッキーアイテムが名前なのだよ・・」
「えっ!わー嬉しい!あっくん私ラッキーアイテムだって!」
「む。ミドチンが紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん喜ばしてるの、なんかムカつく。ヒネリつぶしていい?」
「なっ!不可抗力だ!」
自分に伸ばされた手を避けながらも名前を借りるため逃げようとはしない緑間。
「今日の俺の運勢は最悪なのだよ。・・・ラッキーアイテムがないとなると、俺は今日死ぬかもしれない。」
「え!あっくんミドリン死んじゃうって!」
「えー、でも紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんは貸さないよー」
紫原のその言葉を聞き、フッと笑うと眼鏡を一度上にあげ紫原を見つめる。
「まぁ、ここまでは俺も予想していたのだよ。・・・だがこれならどうだ?」
そう言って紫原の目の前に紙切れを差し出す。
「んー?なにこれー。・・・っ!ケーキ食べ放題無料券だー!」
その紙切れに書かれている文字が分かった途端、目の色を変えて紙切れに飛びつく。
だが、紙切れに届く前に緑間は手をひっこめ自分のポケットに隠す。
「あー!」
「これが欲しければ今日一日名前を貸してもらおう。」
「えー」
そう言われ恨めしそうに緑間のパケットを睨む。
そして後ろに隠していた名前を一瞬見て、また緑間のポケットを見る。
「んー・・・。」
紫原の様子に名前は不安を感じた。
「あっくん・・。もしかして・・!」
珍しく悩んでいる紫原に名前はケーキ食べ放題無料券に負けるのだと覚悟をした。
お菓子には勝てても、ケーキには勝てないのかな・・。うう、あっくんの、あんぽんたん!
「俺、ケーキ我慢する。紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんと一緒にいたいもん」
「・・えっ!あっくん!!」
名前は驚きながらもあまりの嬉しさに紫原の後ろから抱き着いた。
「あっくん、もうホントに大好き!ありがとう嬉しい!」
「俺も好きー!」
後ろから抱き着いてきた名前を前に移動させ、抱っこするように上にあげで抱きしめる。
「・・・俺はっ一体どうすればいいのだよ・・!」
その横で床に膝をついてこの世の終わりと言わんばかりの顔で絶望する緑間。
名前は緑間の存在を思い出し紫原に抱きしめられながらどうしようか考え出した。
「あ!そうだ!今日は一日私とあっくんとミドリンの3人でいればいいんだよー!そしたらミドリン死なないよ!ね、そうしよう、あっくん?」
「んー。それならいいよー。でもじゃあケーキ食べ放題無料券ちょうだい」
「それは本当か!?」
「うん。いいよー。だからケーキー」
緑間はあまりの嬉しさに天を見上げ何かブツブツと呟く。
「あはは。よかったね、ミドリン」
「ねーケーキはー?」
「俺は、やはり人事を尽くしていたのだよ・・!」
「ねーケーキー」
「あっ、テツくんだ」
紫原に抱きかかえられながら、黒子を指さす。
「で、今日の占いでラッキーアイテムなんて言われたんですか?」
「っな、黒子!いつの間にいたのだよ!!」
「え、最初からいましたけど」
「ねーケーキまだー?」
実は最初からいた黒子は三人のやり取りをずっと見ていた。
「あ、私もそれ気になる!ね、おは朝になんて言われたの?」
「・・・な、なんでもいいだろう!」
「えー教えてくれないの?ケチだね、ねーテツくん」
「はい。緑間くんはケチです。僕それが気になってずっと聞くタイミングを待っていたんですよ」
「ミドチン!ケーキ!」
二人にそう言われ緑間は少し後ずさる。
・・・このまま名前を怒らせればもしかしたら一緒にいてくれなくなるかもしれないのだよ・・!
ここは正直に言うのが得策か・・!?
「・・・背の低い、か、かわいい子、だと言われたのだよ!」
「あははっ!ミドリン顔真っ赤!」
「ぷ。」
「・・・ケーキ・・」
「わ、笑うな・・!!」
緑間は顔を真っ赤に染めながら怒っている為か、あまり怒りが伝わってこない。
それもあってか名前と黒子はそのまま笑い続けた。
「あーでも嬉しいな。ミドリン私のこと可愛いって思ってたんだね!」
「・・・なっ」
「え?何ミドチン紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん口説いてんの?捻りつぶす」
「ちょ、待てっ!違っ!」
「あはは。ミドリン頑張ってー!」
end