「名前、分かってるよね」
「・・・は、はい」
部活が終わり赤司との帰り道。
あの時言っていたお仕置きがされることはなくこのまま家に帰れると思っていた。
だが帰り道の途中で赤司は急に止まったかと思えば名前の方を向き距離を詰めながらそう呟いた。
「名前お前はオレのものだ。勝手な行動は慎め」
「・・・違うよ」
「なんだと?」
「だって、ただの幼馴染じゃん」
少し強めに赤司を見上げながらそう告げる。
思ったよりも赤司との距離は近く、近距離から睨まれて怯みそうになる。
「ふざけるな。この髪も目も体も・・・お前の心も全部オレのものだ。」
赤司は名前の顔の横に手をつき、名前の耳元に口を寄せながらそう告げる。
「・・・っ征ちゃん、ずるいよ・・。」
私の気持ちも知らないでそんなふうに私を縛り付けて。
きっと私のこと好きじゃないんでしょう?そこに愛はあるの?
私が征ちゃんのものでも、征ちゃんは私のものじゃない。
そんなの、ずるいよ。
◇
「・・・はぁ・・征ちゃんのばかっ」
あの後やっと赤司から解放され、いつも通り家に帰ることができた。
しかし、家でじっとしていると赤司の言葉を思い出し何も手に着かなかった。
その為気分転換にと外に出て近くにある公園のブランコに座りゆっくりこいでいてた。
「んー?あれ、紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんだー」
「・・・え?」
下を向きながらブランコをこいでいると、どこからか声が聞こえた。
「こんなとこで何してんのー?」
「・・むっくん」
紫原は今さっき買ったのか、手にたくさんのお菓子を抱えて名前に近づく。
「あれ、なんか紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん元気ない。お菓子いるー?元気でるよー。」
「あ、え、ありがとう・・。」
紫原からまいう棒を受け取ると、紫原は嬉しそうに笑うと名前の隣にあるブランコに腰掛ける。
「それ新作なんだよー。美味しいでしょ?」
「えっ、ちょっと待ってまだ食べてない」
隣でボリボリまいう棒を食べながらそう言われるが、まだ袋すら開けていなかった名前は急いで開けて食べる。
「・・・うん。なんか、変な味」
「あはは、紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん変な顔ー」
「ちょ、むっくん酷っ」
「あーでも良かった。いつも通りの紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんだー」
紫原にそう言われ、名前は驚いたように目を開いた。
むっくん、私の為に言ったんだ・・。
なんかホント情けないな・・。
「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんなんでも一人で詰め込むからダメなんだよー。たまにはさ、弱音も吐いていいと思うよ。」
紫原の長い腕が名前の方に伸びてきて、名前の頭の上に置かれる。
そのまま優しくさするようにして何回か撫でて手を離した。
紫原の大きな手に頭を撫でられ安心感が名前の心を占める。
いままでの悩みが溢れだしそうになった。
「・・・むっくん、あのね。・・・今日征ちゃんに、お前はオレのものだーって言われたの。」
名前がそう言うと、心なしか紫原が悲しそうな顔をしているように見えた。
「でも可笑しいよね。私と征ちゃんはさ、ただの幼馴染なのに。・・・そんなこと言われたら私、誰とも付き合えないじゃん。・・・征ちゃんはホント我儘でずるい。」
名前は頬を膨らませて、むっくんもそう思うよね?と最後に付けたし紫原を見た。
「うん。赤ちんはズルい。・・・なんでももってるのに、紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんまで取っちゃうんだもん」
お菓子を食べる手を止めて真剣な顔をして名前を見つめる。
「俺だって紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんともっと話したいし、遊びたいのに。・・・もっと一緒にいて甘えたいのに。」
「むっくん・・?」
でも俺知ってるんだよ。紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんが赤ちんのこと好きって。
だからもし赤ちんが紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんをそうやって束縛してなくても、きっと俺は紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんと一緒にいることができなかったんだろうな。
あーもう。なんで紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんは赤ちんが好きなんだろう。
俺のことが好きだったら絶対幸せになれたのに。
・・・紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんにこんな顔させないのに・・。
「だからさ、また辛くなったら二人でケーキ食べに行こう。赤ちんには内緒で、ケーキ食べ放題!そしたら紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんも元気になるよー」
「・・ぷっ。なにそれ!それで元気になるのむっくんだけだよ!」
「えー」
赤ちんがいつまでも素直にならなかったら、その時は俺が紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんを幸せにするから。
それまで今のまま我慢しよう。