「名前何をしてたんだ」
「え?ドリンク作ってたんだよ。はい、これ征ちゃんの。」
体育館に戻ると赤司は待ってたと言わんばかりに早歩きで名前の元に向かう。
名前から渡されたドリンクを手に持ったがまだ不満そうな顔をしている。
「いつもより遅かっただろ?何をしていた」
「もう、ちょっと黄瀬くんと話してただけだよ」
「・・・なんだと」
黄瀬という単語を聞いた瞬間眉間にシワを寄せる。
「ただいまーっス」
名前の後ろからニコニコと笑顔を浮かべた黄瀬が帰ってきた。
その手には先ほど名前からもらったボトルを持っている。
「黄瀬、その手に持っているものはなんだ」
「え?これっスか?さっき名前っちにもらったんスよー!」
黄瀬がそう言った瞬間体育館の空気が一気に重くなった。
紫原に至ってはプルプルと震えている。
(((黄瀬、お前なんてことを・・!!)))
「え?あれ?皆どうしたんスか?」
「黄瀬、次は1on1だ」
「えっ、いきなりっスか!?」
「オレとな」
「え、・・え!?むむむむ、無理っスよ!!」
「オレの命令は絶対だ」
「ええええっ!?」
黄瀬お前には、オレの足元にも及ばないという事を身に染みて分からせてあげるよ。
「名前からのボトルをオレより先にもらうなんて、許されるわけがないだろう?」
「えっそこっスか!?」
「ちょっ征ちゃん!?」
ボールを持ってコートに入ろうとする赤司を止めようとすると、それを制するようにジャージを名前に投げて渡す。
「名前も後でお仕置きしないとね」
「・・え゛」
ジャージを受け取り赤司を見れば、フッと怪しい微笑みを浮かべている。
そして持っていたボールを黄瀬に渡し、冷酷な表情へと変わる。
「・・・私、今日死ぬかな・・。」
一方的に黄瀬がやられている試合を見て、次に自分はどんな目に合うのか考えて絶望的になる。
隣を見れば紫原も震え、大きいからだを小さくして蹲っている。
そういえば昔に1度だけ赤司よりも先に紫原にドリンクを渡したことがあった。
その時はどこかに紫原は連れて行かれて、数分後に真っ青な顔をして戻ってきたような気がする。
それで、確かその後・・。
「名前、何をするにもオレを優先しろ。ドリンクもタオルもだ。オレ以外の奴に先に渡すことは許さない。次やったら・・お仕置きだ」
・・・思い出した。
ってかむっくんは一体何をされたんだろう・・。
「・・・むっくん、なんかごめん」