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「そーいえばなんで名前っちって紫っちのことなんであっくんって呼んでるんスか!?」

「それはね、私たちがまだ付き合い始めたばっかりの頃の話しになるんだよ…」

「えっ、なんか話しが長くなるような予感・・・」





「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん、なんでまだむっくんなの?」

「え?むっくんはむっくんじゃん」

「でもでも俺名前がいい・・。」

「えー、敦くん?やだ、むっくんのが可愛い!」

「えー」


部室の椅子で紫原の足の間に名前を座らせ片腕で抱きしめながら話す。
もちろんもう片方の手はお菓子を持ちながら。


「だってさ、さっちんもむっくんだよ?紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんは特別だから、名前がいい」

「んー、じゃあ可愛いあだ名考えようよ!」



二人で何がいいかな?と、どんな呼び方になるのかわくわくしながら考えていると、部室のドアが開き桃井が入ってきた。


「二人で何の話してるのー?」

「あ、桃ちゃん!今ね、むっくんのあだ名考えてるんだけど何かいいのないかな?」

「むっくんはむっくんだよー!」

「そうだよね!むっくんはむっくんだよね!」

「・・・紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん・・。」


名前と桃井で盛り上がり、話に入れない紫原は紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)を抱きしめ悲しそうに名前を呟く。


うっかりむっくんのこと忘れてた!


「あ、ごめんごめん」

「さっちんがいると紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちんいっつも俺の相手してくれないからやだ」

「むっくん酷いー!私だって名前と話したいのにー。いいもん。テツくんのとこ行くもん!」

「あっ、ももちゃんっ!・・・行っちゃった。一緒にあだ名考えようと思ったのに・・。」


桃井の去っていく背中を悲しそうに見つめる。
紫原はそれとは対照的に桃井が去っていく様子を横目に嬉しそうに笑うと、名前を抱きしめていた腕の力を強めた。


「もー、あんまり桃ちゃん苛めちゃだめだよ?」

「んー」


生返事で大丈夫か心配な名前だったが、あだ名を考えていたことを思い出しそっちに専念することにした。
周りを見渡すと皆既に着替え終わったのか部活の準備をし始めていた。
その中でも一番暇そうにしている青峰に目をつけた。


「ね、青峰くんはむっくんのあだ名何がいいと思う?」

「あ?・・・お菓子野郎でいいんじゃねーの」

「むっくん聞いた!?もうこうなったら青峰くんは今日からまっくろくろすけだね!」

「あ゛あ?」

「峰ちん、まっくろくろすけー!」

「てめぇーら・・!」


紫原に抱きしめられている為か強気でいる名前。
紫原は青峰の言葉をたいして気にしてないのか笑いながら流している。
プルプルと拳を震わせる青峰は、流石に紫原は敵に回したくないのか殴るのを必死に耐えていた。



「じゃー、ミドリンは?何がいいと思う?」

「・・・知らないのだよ」

「・・・ミドリン頭いいから、すっごくいいあだ名考えてくれると思ったのに・・。」

「紫原からの呼ばれ方(ちんを抜かして)ちん、しょうがないよ。ミドチンそーいうのは疎そうだし」

「そうだよね」

「・・・っならっ「あ、じゃあ涼ちゃんは?って、あれ?いない・・。」・・・」



緑間が何か言いかけた瞬間に名前が声をかぶせ、緑間の言葉が続くことはなかった。
さんざん言われ、勇気を出して言おうとしたのだが結局言えず脱力する。



「黄瀬ならモデルの仕事で休みだよ」

「赤司くん!」


赤司がいることに気づき名前は嬉しそうにニコニコと微笑む。


赤司くんなら、きっといいあだ名を考えてくれるはず!


「赤司くんはむっくんのあだ名、何がいいと思う?むっくんの名前にちなんだあだ名がいいの!」

「そうだね・・」


期待した目で名前が赤司を見つめながらそう告げると、赤司は考えるような仕草をして紫原を見た。


「・・・あっくんでいいんじゃないか?」



「「「・・・(え!?)・・・」」」


赤司がそう言った瞬間部室内がシーンと静まり返った。


「わー!凄いっ流石赤司くん!あっくん可愛いし、あっくんにする!」

「うん、俺もそれでいいやー」

「俺が考えたんだ。当たり前だろう」

「うんうん!流石だよ赤司くん!」


「「「(俺は(私は)何も聞いてない)」」」


会話をする三人以外、誰も口を開かず何も聞かなかったことにしようと心に誓った。





「っていうことがあったの!だから赤司くんが決めてくれたんだよ」

「へー・・。ってちょうど俺が休みの日に皆で決めてたんスね・・。」

「うん。でも涼ちゃんもあんまりいいあだ名考えてくれなさそうだし、それはどうでもいいの!」

「え」

end
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