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「でさ、名前ちゃんは俺たちの試合見に来てくれたんだよね!?」

「え、あ、うん」


高尾にキラキラとした目で見られ、邪な考えがあったことが申し訳なくなる。

あれ確か私は黄瀬くんを見に来たような・・。


「よっしゃ!真ちゃん、応援してくれるってよ!これは勝つしかないね!」

「応援されずとも勝つに決まっているのだよ」

「ちょ、私応援するって言ったっけ!?」

「え、名前ちゃん秀徳応援じゃない感じ・・?」


う・・そんな目で見ないで・・!秀徳応援したくなっちゃうよ!!

でも黄瀬くんのこと、一応ちゃんと好きなわけで・・・。
彼女として来てるのに他校応援しちゃまずいでしょ!?

負けるな・・私・・!



「緑間っち!何人の彼女ナンパしてんスか!?」

「なっ、なんで俺なのだよ!!明らかに高尾だろう!」

「えっ・・・あ、小っちゃくて見えなかったっス!・・・とにかく名前っちにナンパは禁止!」

「俺そんな小さかったっけ!?ってか彼女!?」



名前がプルプル震えてどっちを応援しようか悩んでいると、後ろから手を引かれギュッと抱きしめられた。


「っ・・。黄瀬くん?」


驚いて見上げれば、少し汗を掻いた黄瀬くんが必死に私を抱きしめていて、不覚にも胸が高鳴った。


「そうっスよ!名前っちと俺は付き合ってるんスよ!!」

「まじかよ・・。あーあ、真ちゃんどんまい!」

「だからなんで俺なのだよ!!」


黄瀬にそう言われ肩を落として落ち込む高尾だったが、緑間に向き直ると緑間の肩に手を置きそう呟く。


・・・黄瀬くんに付き合ってるって言われた!
いや、本当のことなんだけど、そうやって面と向かって言われると・・!
でもね黄瀬くん、私と黄瀬くんが付き合ってることなんて二人にはまったく関係ないことだから、そんなに必死に言わなくても大丈夫なんだよ。


「黄瀬くん、ありがとね。・・でもナンパされてたわけじゃないから大丈夫だよ?」

「何言ってんスか!!あの落ち込みようは絶対名前っち狙ってたっスよ!」

「大丈夫!分かってるから、私はちゃんと分かってるから!」

「全然分かってないっスよー!」


私がナンパされることなんてまずないのに・・。
黄瀬くん思い込み激しいなー。でも、なんか必死な黄瀬くんなんか萌えるかもしれない。
私もう末期・・?



「あーあ、今日は名前ちゃんに応援してもらえると思ってテンション上がったのになー。でも、名前ちゃんが見てることには変わんないし、いっちょカッコイイとこ見せちゃおうかな!な、真ちゃん!」

「・・・勝つのは当たり前なのだよ」

「名前っちの前で負けるわけにはいかないし、俺だって本気でいくっスよ」


緑間と黄瀬は睨み合いながら、そして高尾はニコニコと笑いながら、宣戦布告。
急な真剣な雰囲気に名前は三人を見渡した。


し、真剣な顔の緑間くん・・!とニコニコ笑ながら肩に手を置く高尾くん・・!
やっぱりこの二人似合ってるよ!!
来て良かった秀徳・・!



「名前っち・・。俺名前っちに言われた通りかっこよく体育館入ったんスよ!なのに名前っちどこにもいなくて・・!俺悲しかったんスよ!」

「え・・。」


私なんか言ったっけ・・?やべ、覚えてない。
ってか泣きそうな黄瀬くん萌え。


緑間と高尾は体育館に向かい、黄瀬は名前を抱きしめたまま泣きそうな顔で名前を見つめる。


「しかも笠松先輩には蹴られるし・・。」

「・・・。」

「やっと名前っち見つけたと思ったらナンパされてるし。・・俺、結構怒ってるんスよ。」

「・・・ごめん」


黄瀬は頬を少し膨らませ名前を更に強く抱きしめる。


「名前っちは可愛いんスから、もっと気を付けて欲しいっス!」

「・・・う、ん?」

一瞬何を言われたか理解できなかったが、すぐに理解をし肯定の返事ではあるが、頭を傾げはてなマークを飛ばす。

黄瀬くん。それはないな。


「とにかく、次は名前っちのこと迎えに行くんで、もう一人で来るのは禁止っスよ!」

「・・・うん」

名前が不満げに頷くと、それで一応満足したのかニコッと笑って名前の手を引き体育館に向かう。

その後、体育館に戻ってきた黄瀬がまた笠松に蹴られるのであった。

end
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