家庭的な子が好きだって雑誌で答えていたのを見かけていたから、ぼくはそれだけで有頂天です!

そう本人に言ったら、なんだかちょっと困ったように笑って、でもそれは本当に困った時の顔じゃなくて、照れた時のなんて言っていいかわからない時のヤツ。うふふ知ってます、知ってますとも。なんたってぼくはきみのらぶらぶらばー!ねえそうでしょう?
そのまま新聞に目線を落とすのも、ぼくの瞳の輝きに堪えられないからだそうで、なんだってそんなに恥ずかしがり屋さんなんでショウ安っぽい劇に出て来るショキングピンクにコーティングした気持ちのなんたるかを知らない純朴な少年みたいでshow!信じられない!かわいい!一面記事に取り上げられているどの女優さんよりも、きみの方がいいんだ。きっと知らないんだろうけどねぇ。

でもなあ、でもなあ。具体的にどんな人ってもっと言っていいんだよう?髪型とか、背丈とか、体重は秘密、得意料理はもっと口にして。ああ、言葉としてじゃなくて、本当に口の中に入れて欲しいって意味ね!唐揚げ以外にも、頑張るきみに食べてもらいたい料理がたくさんあるんだってば。例えば?ごめんごすぐには言えないや、それより先に好きって言っちゃうんだもん、嘘、すきやきとでもしておこうか、ねえねえどっちがいーの?

困った。一緒に洗濯物を干すのは、なんだか、うわあ。先輩は無駄遣いをやめろって怒るかもしれないけど、乙女心は複雑だからね!ぼくのはコインランドリーにしとこ。洗濯槽の中で回るパンツ。ぐるぐる。きみの二つあるつむじを思い出して、つむじ二つは頑固者っていう迷信も同時にチカチカ、ふはって噴き出したらおばあちゃんに笑われちゃいましたよ。テレビで見るより素敵な笑顔ねって言われちゃいましたよ。この責任はどうとってくれるのかな、そこんとこ教えてください日向さん、嘘、それよりもぼくの好きなとこ百個言って。ねえねえどこがすきなのー?

掃除は、先輩のいない時にこっそりするね。だあって小姑みたいに埃指で取って、汚ぇなって言いそうーやあだこわーい。いいのいいの、気にしなくていいの、ぼくのやりたいようにやるんだからねん!しかし、畳じゃないお宅の掃除をまともにした事がない訳で、ええフローリングってめんどくさくない掃除機も雑巾も必要じゃないかな!カーペットも干さないとだし、大事な書類や本を勝手に触ったら龍の一睨みで縮こまる、蛙、はかっこがつかないしかわいくないよう!何になろう、嘘、きみだけの恋人だよアイドルだけど。ねえねえいんたいかいけんはけっこんかいけんにはならないのー?

きみの家庭に入る過程は着々と踏んでいるはずなのに、遊びの恋の課程はそろそろ修了してしまうのに、嘉禎元年くらいからきっと結ばれる運命だったのに、それじゃあときみと結ばれる未来を仮定して、愛の台形になっちゃおうよぼくが下底きみが上底足してわらないで終わらないでお願いだから。

「かていてきなひと、って、ぼく、どうやってなったらいいかわかんないや」
「さっきまで喜んでた癖にどうした」
「ぼくはさぁ、違うの、かていてきじゃなくて、先輩のだいじなひとになりたくって、料理も洗濯も掃除もそれなりに出来るけど、だいじなひとはそれなりじゃあだめだめでしょ。違くて、ぼくは、特別って苦手で、バラエティーはヒナ段だしね、ドラマも準主役が多くってね、どうしたらいいんだっけ。売れっ子な先輩ならわかるの?」

あぐらをかいた膝に、そろっと手を置いて、自分でも何を言っているのかよくわからないのにきみはもっとわからないと思う。ほっぺた引っ張られるかな。意味わからんってスルーされるかな。

「何を思い悩んでるかはよくわかんねぇんだがな、お前はお前ってだけでいいだろ。もうとっくに大事だし特別にしてるつもりだったんだが、足りてなかったか。ヒナ段にお前がいねぇとつまんねぇ番組多いぞ。主役より目立ってるだろうが準主役。売れっ子だぁ?馬鹿言え。俺なんてしがないただの男だ。目の前にいる恋人を安心させてやるくらいしか出来ねぇよ」

うそ。この人そんな馬鹿じゃなかった。優しくってかっこよかったね忘れてまーした!心臓がばつんばつんと鳴りだして、もうドキドキとかそういう次元じゃなくておわかりですか皆さん!トップアイドルは伊達じゃなかったよおおおお!もはやアイドルとか関係ない人間的にパーフェクトぼくの好きな人!めろめろ、はあ、はぁもう、全部好きいいいってなりすぎて。

「はぁんってなったー!」
「んだそりゃあ」
「腰砕け?下半身にずっきゅんばきゅん?」
「……下品だからやめろ」
「怒んないでよ!」

ほっぺにちゅってしたら、カっと赤くなって、テに持った新聞でぽかって叩くから、イたいって言ったら、とろとろの笑顔をくれたから、うん、やっぱり満足です!


END



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