リューヤさんリューヤさん、オレはリューヤさん以外いらないの、わかってる?

俺の黒く染まった脚の間に、リューヤさんの指が入って来る。
武骨な人差指を、ゴムの締め付けのせいでいつもより強く感じる事が出来て嬉しい。真っ黒で汚いこの脚を、綺麗って言ってくれるのはリューヤさんだけだ。
レディに負けるのは最初からわかっているんだよ。だって、ねえ?この体つきを見たら、諦めざるを得ない。ごめんね、柔らかくなくて。ごめんね、包み込めなくて。本当はもっと、可愛い子が好きなんでしょう。

「わざわざ買わなくても良かっただろ」
「んー」
「この肉がいいよな、お前ほっそいけど」

ゴムから外れた指が、内股の線になっている部分を舐めた。それだけでしにそうになる。それより上をこの人は触らないし、それより上を触ってほしいと自分は言えないから下唇を噛み締める。前歯の痕がついたら、悲しんでくれるの知ってるから、わざと。熱が、触られた箇所だけ上がった。嘘。尋常でない程血液を送り出す壊れかけたポンプが一番熱い。どくどく毒?
ああそうかおれはやっぱりこのひとにころされる。

太った方がいいのかな、なんて、言わない。言ったところで笑われて終わる。この人はそういう狡い大人だ。なんで。同じ目線で見ようとはしてくれないの。
リューヤさんの目線の先にいるレディ全員に嫉妬する。オレには決して真似できない女の武器をちらつかせないで欲しい。オレからこの人を奪わないで欲しい。
レディ達にはまだ、相手を探せる美しさだって時間だって腐るほどある。だから、このちっぽけな願いと大きな独占欲を潰すような事はどうかしないで。

リューヤさんの前で髪を下ろすのは、きっと逆の性別に見られたいから。押し倒してその耳にわざとこの髪がかかるように、魔法がかかるように。今だって下にあるその身体に抱き締めて欲しいの。もう離さないって昨日出ていたドラマの中みたいに言って。何回でも言って。本当は魔法にかけられたい。逃げられないようにしてくれないかな、ああまた太股を撫でられる感触。

「ニーハイとオーバーニーは何が違うんだ?」
「長さだよ」
「ふうん。今時の若者は露出がたけぇよ、まったく」

それってわざとならもうこの腰に回されてる腕、抓るけどいいの。なんにもわかってない。アイドルなんだから、人の気持ちには敏感になれって板書してた癖に。

「そんな顔すんなよ、なぁ。可愛いのに」

黒い部分をずり下げれば、現れるのは普段と変わらない肌色。この胸いっぱいに広がったどす黒い感情を生み出すのも消し去るのもたった一人。

リューヤさんリューヤさん、俺はリューヤさん以外いらないの、わかってる?
でもこれ秘密。絶対言わない。


「そりゃあね、リューヤさんのために可愛くしてるから」

END



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