※イメージは
ファンに手を出すバンドマン(嶺)
そのバンドマンが贔屓にしているライブハウス兼バーの店長(龍)
ライブハウス兼バーの新人バイト(蘭)












高くてうるさい。嶺二、嶺二、と必死に呼ぶ豚の鳴き声は滑稽で、多分そういうものより、こんなぼくに固執している哀れな姿に性的興奮を覚えているんだな、とぼんやり思った。丁寧にメイクの施されていた顔面は無様だ。全然可愛くない。股を開いて、財布を開いて、きみに何が残るって言うんだい。教えて欲しいな。
揺さぶりながら落とした煙草の灰は、いつもシーツに焦げ跡を残している。ホテルのシーツなんていくらでも替えがあるから関係ないけど。そう、ぼくの所に寄ってくる女の子みたいに。

「もう連絡しないでね、バイバイ」

中に吐き出したのは白濁だけじゃなくて、もっと濃密に黒を含んだなにかだよ。


「今月からバイトで雇った黒崎蘭丸だ」
「うっす、よろしくお願いします」

気怠い体を引き摺りながら馴染みのライブハウスに向かう。ようやくの思いで錆び始めている扉を開けると、店長の龍也さんが派手な銀髪とバッチリ決まったメイクで、どこか緊張した面持ちの青年を紹介してくる。こっちの界隈の子、なのかな。パンクTシャツにGパンという簡素なファッションだけれども、真面目そうな表情に判断しかねる。音楽は好きそうだ。ライブハウスで働くくらいだし。物は試しに、と、龍也さんのネクタイを引き、わざと見せつけるように唇を重ねた。唾液も舌も、これでもかと言うほどに。吸い終わったばかりの煙草の匂いを塗り付けて、離れなくする。ぼくの下唇を噛む力が強くてたまらない。手酷くされるのは嫌いじゃないんだ。呆れた顔をしながらも付き合ってくれる龍也さんに、調子に乗って下半身を擦り付ければ、大きな手のひらが後ろに回る。
どういう反応をしているんだろう、と思って青年を見ると、真っ赤になりながらも視線は逸らさずに凝視していた。Gパンは膨らみを隠しきれていない。人の痴態を見て立たせているなんて、ウブなんだなぁ、と愛しくなった。かーわい。食べちゃいたい。ぼくがきみに手を出したら、もっと色んな顔を見せてくれるのかな。拒絶されたい。その綺麗な、目で。ぼくみたいな人種を一番嫌ってくれるビー玉。最高だよ。ねぇ、出会ったばっかりだけどセックスしようか。なんだっけ、名前。忘れちゃった。

「ん…混ざる…?」

誘うように甘い声を出しながら、左手を伸ばせば筋肉のついた右腕はつかめそうだったのに、我に返ったのか、何も言わずに走って行ってしまった。

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