吸血鬼の特徴

・吸血鬼は十字架や聖水、銀の銃弾など神聖な物品に弱い
・吸血鬼は変身する
・吸血鬼は日光に弱い
・吸血鬼は流水に弱い
・吸血鬼はにんにくが嫌い
・吸血鬼は心臓に杭を刺されると死んでしまう
・吸血鬼は火に弱い
・吸血鬼は血を吸って仲間を増やす
……など

吸血鬼には様々な特徴が存在するが、これは必ずしも正しいとは限らない。

 カイン自身は神の怒りを買ってエデンを放逐され、その後赦しを乞わなかったために<神の家>たる教会には入ろうとしない(入れないのではなく、自分の意志で入らないのである)が、その後の世代には、ずばりその神を信仰しているユダヤ教徒やキリスト教徒も少なからずいると同時に、神に赦しを乞い、その呪いを軽減しようとした者もいる。
 だが、確固たる信仰心に基づいた強固な意思の込められた聖遺物は吸血鬼のみならず人狼や妖精といった人外にも畏敬の念を抱かせるという。

 次に、吸血鬼は変身するという特徴があるが、これは半分間違いである。
吸血鬼はあくまで<人間が変質したモノ>のため、質量を無視して蝙蝠やネズミといった小動物に任意に変身したり、霧になったりということはないとされている。
 だが、唯一<獣の氏族>ギャンレルが変身の術を持っているとされるが、確認されているのは、<爪を伸ばし、鉤爪状にする>、<耳が長く伸び、聴力が鋭くなる>という程度。
 だが、吸血鬼は自分の血を分け与えることで他者や他の動物を支配し、操ることからこの伝承が生まれたと言われる。


 第一始祖であるカインが神より4つの呪いをかけられている。
 だが、カインにかけられた呪いは、世代を追うごとにだんだんと薄くなっている。
 理由としてまず挙げられるのが、「信仰心の減少により、神が力を失った」こと。
科学の発達により宗教では世界を説明しきれないことが判明し、神への信仰は<一個人にとっての世界のすべて>から<ちょっとした心のよりどころ>にまで失墜してしまった。
それにより、神の持つ力が減少し、数多く存在する吸血鬼一人一人を拘束するほどの力を発揮できなくなったのである。
 もう一つの理由として「吸血鬼にアブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の総称)の信者が多くいること」も理由となるだろう。
かつて神から下された呪いをその身に受けてなお信仰心を絶やさぬ人々に心打たれた神は恩赦をくだし、彼らの呪いを軽減させたとされる。
 また、「呪いは血族としての血の濃さに比例する」とも言われ、血の薄い血族であるケイティフが呪いの影響を受けにくいのはそのためともされる。


 ゆえに、吸血鬼は日光に弱い、というのは呪いの程度に依存する。
洪水前から生きている世代(アンテデルヴィアン)である第三世代ならば日光に当たるやいなや灰と化すが、ケイティフと呼ばれる十四世代以降になると、日光を浴びても火傷を負う程度で済んでしまう。
半吸血鬼も日光には灼けやすいという程度で、日中の活動に支障はない。


 吸血鬼は普段、人間に比べて生体としての機能が低下させているために永らく生きることができる。
 拍動は人間に比べてかなりゆっくりで、血液の循環はかなり抑えられているために顔は常に青白く、体温がかなり低い。
食べ物の消化や急激な運動、怪我の治癒など必要に迫られた時のみ血液をその部位に供給するという循環系の構造になっている。
(とはいえ、日常生活の範囲つまり常人と同じ生活を送るならば、<體血>(体にある血液のストック)の消費は一週間で1ポイント程度(上限は10ポイント)とかなり少ない)
 呼吸も人間に比べればかなり回数が少なく、一見すると呼吸をしていないとすら思えてくるほどだ。
 栄養は必要とするとはいえ、血のみを飲んで暮らしている吸血鬼ならば内臓の機能は衰えているかもしれない。だが、人間社会に入り込む必要がある以上、人間と同じ食事を摂る者は少なくない。


 そのため、吸血鬼は流水に弱いというのは全くの間違いで、むしろ、人間よりも長く潜水できたり速く泳げたりと人間以上のポテンシャルを発揮する。
(何しろ、海中に住む<獣の氏族>もいるらしい……)

 また、吸血鬼はにんにくが嫌いというのは単なる個人の好みの問題のため間違い。
最近の吸血鬼はペペロンチーノが好きな者もいるらしいし、にんにくの素揚げをつまみにビールを飲む猛者もいるとかいないとか……。

 吸血鬼の身体は頑堅で傷が付きにくい。
ゆえに心臓を貫く傷を負っても運が良ければ生きているということもしばしばある。
しかし、心臓を通る攻撃は体にかなりのダメージを与えるほか、傷の治癒のために<體血>を使おうとしてもそれを送り出すポンプの役目が果たせず、治癒が遅れることが多い。
そのため心臓に攻撃を受けると動けなくなる吸血鬼は多い。

 吸血鬼は皆、その身に内なる<獣>を飼っている。
<獣>がひとたび暴れだせば、手を付けられないほどの惨事になるだろう。
また、<獣>は本能的に火に恐怖する。
<紅の恐怖>とも表現されるそれは、すべての吸血鬼に刻まれた本能であり、これに抗うことが難しい。
ゆえに、吸血鬼はよほどの意志がない限り、炎には抗いがたい恐怖を覚えることだろう。

 最後に、吸血鬼がどのように仲間を増やすのかについて。
これには、実は二つの方法がある。

 一つは、相手の血を吸いつくしてから自分の血を与える<抱擁>と呼ばれる方法。
これは比較的行いやすい方法で、ノアの大洪水が起こる以前に吸血鬼が街に溢れかえったのはこの方法が横行したためである。
現在では、<抱擁>を行うことは制限されており、実行するには公子(その地区を治める領主)に許可を取らねばならない。

 そしてもう一つは、単純に生殖である。
変質こそすれど、吸血鬼の身体には生殖器はそのまま残っており、<體血>を少し消費して種々の体液を分泌する必要こそあるが、吸血鬼および人間との交合は可能である。
それに、遺伝子も似通っているため、妊娠は成立し、子供をもうけることまで出来る。
しかし、様々な段階を踏んで<體血>を消費しなければならないことと、妊娠期間にも<體血>を消費する必要があるため、手段としてはあまり好まれない傾向にある。

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