ヴァレンタイン家の日常@

仲間から夫婦だのなんだの言われる私達だけれどあながちそれは間違っていないかもしれない……。

武器屋の棚に並ぶ銃のパーツを難しい顔で物色する彼の横顔を見つめながら私はそんなことを考える。

以前に比べ随分と無口になってしまった相棒だが、思っていることがすぐ顔に出てしまうのは相変わらずのようだ。(とはいえ、他の連中は全く分からないとぼやいていたが……)

そんな彼は、今も二つの商品の値札を見比べては困った顔をしている。

恐らく、彼としては少し値段が張っても良い物を買いたいと思っているのだろうしかし、もう一方の安価な品でも代用は出来るおかげで悩んでいるようだ。

どうしようか?と、言いたげにこちらを見る彼にふとため息にも似た笑みをこぼして、私は片方を彼から取り上げた。

『せっかくだからこっちを買わないか?良いものの方が長持ちするだろうし』

その言葉に相棒の表情が少し綻ぶ。
やっぱり高い方が欲しかったらしい。

そんな表情の変化に気付けるのは私だけだなんて……自慢にならないような事柄だけれども、そんなことが特別に思えるなんて、私も結構 末期かもしれない。

『手、つないでもいい?』

店から出たところで、普段は言わないそれを口にしてみると、彼は一瞬だけ瞠目しふと表情を緩ませた。

「ああ」

そっけないと思えるくらいに短い返事も本当に相変わらずだ。
でも了承はもらえたから、革のグローブをしただけの右手にするりと自分の手を絡ませる。

しっかりとは握らないで、そっと包み込むくらいの力加減が優柔不断な相棒の性格を表しているようで、
――ああ、幸せ
だなんて、そんならしくもないことを思った。

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