※なまえの日記より、抜粋


21st-Jun-16XX

とうとうわたしも賞金首だ。大したこともしてないし、ちっとも嬉しくない。懸賞金が跳ね上がって、名を上げたあかしなんだぞとエースは大喜びしていた。それと同時に舞い込んだ七武海への勧誘をろくに話も聞かないで断ってしまった。エースがばかすぎてホント嫌になる。この海の広大さといかめしさを知ればこそ、危険はなるべく減らすべきだと思う。当の船長はオトコのロマンよろしく真逆のポリシーを掲げているから困ったもんだ。考えることがたくさんありすぎて浮かない顔をしていたら、お前がやられそうになったらおれがそいつらぶっ倒してやるからと背中をバシバシ叩かれた。やっぱばか。だって悪循環じゃないの、それ。でも、ちょっとうれし…

「メシだぞー」
「うわあ!」

日記を隠そうと机の隅に押し込むと、本が雪崩をおこした。日記を書いてることを知られるのが、わたしはなんとなく恥ずかしくて息を飲んだままエースを振り向く。不思議そうに眉を寄せている。

「なんだあ?」
「なんでもないよ、びっくりして」
「メシだぞ」
「わかったわかった、行こう」

ふざけあいながらエースとダイニングまで歩く。「最近ちょっと老けたんじゃねえか」とのたまうエースを、誰のせいよと蹴りながらドアを開いた。賑やかな声が聴こえる。遅いぞとみんなに声をかけられながら席へ向かうと、上をみあげてニヤニヤしてるエース。口もとを手で覆っているけど隠しきれていない。つられて上を向くと見たことのない、大きな幕がたれていた。・・・もう!





『祝総額5億ベリー!おめでとう』







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