だから ごめんね


悟がミズキを好きだっていうのは、当事者以外は皆んな知ってると思ってたんだけどな。
だってほら、悟の態度が他と全然違うじゃないか。
休日に硝子が出掛けるって言っても「帰りにアイス買ってきて」ぐらいしか言わないのに、ミズキがっていうとどこに行くとか誰に会うとか何時に帰るとか、根掘り葉掘り聞くだろう?挙句イチャモンつけて行くのを邪魔するから、ミズキはいつも困ってるよ。でもまぁ、満更でもなさそうだと私は思ってるんだけど。

この前もそうだね。
硝子とミズキがファッション誌を一緒に見てお互いにどれが好きとか似合いそうだとか話をしてたんだよ。
ミズキが私に「男の子ってどういうのが好き?」って聞くのさ。本当は悟の好みを聞きたいのにね。悟は悟で、興味なさそうな顔をしながらこっちを気にしてるのがバレバレだったから可笑しくてね。私が適当に答えて「悟にも聞いてみたら」って言ったら2人が同時に「「えっ」」だよ、笑いを堪えるのに必死だった。硝子もそう。

まだあるよ。
高専内には寺社仏閣のハリボテが多いだろう?だから体術の実習の前とか、手近な建物で着替えたりする。悟がガラッと開けたら中で歌姫さんが着替えててね、あちらは悲鳴を上げるし悟は「うわっ」って驚いてた。一応ビックリはするんだ?って思ってたら「ここまで催さないって逆にビックリした…」だってさ。フォローする私の身にもなってほしいよね。歌姫さんは何故かさらに怒ってたけど。
それがこの前同じ流れでミズキが着替えてるところに遭遇したんだ。悟の反応、想像出来るかい?真っ赤になって狼狽えて「貧相なもん見せんじゃねーよ!!」って絶叫だよ。しかも『貧相』の前に魔女の笑い声みたいに『ひ』が5つぐらい付いてね。それなのに後から「記憶をプリントアウト出来る感じの呪霊とか持ってねぇの?」って私にこっそり聞くんだよ。

そうだ、ファッション誌の話、続きがあるんだ。悟はミズキに雑誌を手渡されて一応見てるふりはするんだけど、頭の中はミズキが着飾ってどこに行くのか誰に会うのか、そればっかりなんだよ。
着てほしい服は勿論あるだろうけど、それを着てミズキが他の男に会うかもって思うと答えたくなかったんだろうね。最終的にブスっとして「どこ行く気だよ、んな暇あんの?行くならジャージで行け」ってさ。
ミズキもそろそろ気付いてあげればいいのに、精一杯真面目に考えちゃったんだね。「……スポーティな感じってこと?」だよ。

勿論ね、自分とデートしてほしいって言えない悟が悪いと思うよ。でもそろそろめんど、いや、可哀想じゃないか。だから素直に言えって助言したんだよ。
言うって意気込んでたのが今日だから、そろそろ合否判定出るんじゃないかな。変に拗れてないといいけど。

あぁほら来た、あの顔はOKだったみたいだ。これでやっと安心出来るよまったく。

だからね灰原残念だけど、ミズキのこと好きになりかけてるならお薦めはしないな。ミズキがすごく可愛いっていうのは否定しないよ。

でもほら悟が、ね。




***

ネタポストより『夢主「男の人ってこういう服装が好きなの?(照れ隠し)」相手「誰に見せるつもりだよ(嫉妬)」な話』かなり意訳しましたすみません。
あと『相手』は恋人とのご指定だったのですが両片想いになりました。
ネタ提供ありがとうございました!

あと唐突に失恋(手前)させてごめんね灰原。
でも「そうだったんですか?!よかったですね!」って言うって信じている。

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -