合援鬼縁

01


夏から秋に変わった頃、私は誕生日を迎えた。七つまでは神様の子供、そう言われる最後の歳、七歳になったのである。
誕生日当日の朝、変な夢を見た。いや、夢ではない。現実にあった事だ、そう理解できる。朝起きてすぐは薄らぼんやりと、断片ずつ浮かんできたものが、数時間経った今、比較的はっきりした物に代わっている。
前の生でもはっきりと色々とお世話になった、言葉ではっきりと言おう。これは前世の記憶ってやつですね。間違いなく。

自分が前世で審神者だった、と言うところまでは思い出したが、肝心な所が思い出せていない様に思える。何が思い出せていないのか、それ自体が思い出せないから困ったものだ。

家で、簡単に誕生日を祝って貰った後(本番は夜である)、朝からの出来事を整理しようと、家を出て、ふらふらと歩いていると、前から友人の緋和が前から歩いてきた。隣に見たことのない服を着た少年を連れて。
あれ?あんな子、この里に居たっけ? そんなことを考えていると、頭の中にとある名前が浮かんだ。

「は、せべ……?」

声に出した瞬間、自分の目の前に桜吹雪が舞う。その中から、前の生で見覚えのある服装を着た人物が出てくる。

「お久しぶりです、主。この瞬間をお待ちしておりました。」

にっこり、まさにそんな効果音が付きそうな笑顔をしたへし切り長谷部がそう言った。
長谷部が顕現したことで、私自身にも変化が訪れた。先ほどまで思い出せなかった記憶が長谷部の顕現によって思い出したのである。
そのことに戸惑っていると、前から歩いてきていたはずの緋和が、駆け寄ってきた。
あれ?緋和って、確か前の時も友人だったような……?そのことに気がつくと、体の奥底からなにか力があふれる様な感覚がした。どうやら、緋和の方もそうらしい。

「やっぱり!!!そうだったんだ!!八重も!!!」
「え。ちょっとまって?そうだったって、思い出してたの?」
「三年前にね。八重も今日7歳でしょ?それがきっかけみたいよ。」
「……あ、そうなの。え、てか、顕現してても大丈夫なの?」
「私たち以外は見えてないみたい。何でかはわからないけども。」

と、仲間の発見に盛り上がっていたのだが、長谷部に、周りから注目されているとの言葉を貰い、二人揃って我に返り、周りを見渡す。すると、視線を浴びている事に気がついた。
注目の中に居続ける事が出来るほど神経図太くないので、そそくさとその場を後にした。

二人で向かったのは、私の家である。
お茶とお菓子をもって部屋に向かうと、人目がないことを良いことに、テンション爆上げで話始めた。詳しい話は割愛するが、大まかに二人で話した内容を整理すると、
・7歳で徐々に前世の記憶を思い出し、当時の近侍の名前を思い出すと、記憶のコンプリート。
・どうやら、仲間が居ることがわかると、一振りしか顕現する霊力しかなかったのが、解放されたらしい?
の2点である。二つ目に関しては、まだ実行していて居ないので、確証を得られていない。

しかし、テンション爆上げ状態の私たちにはその事実がわかった瞬間、即座に実行に移そうとしたが、近侍の顕現は自動発動だったことに気がつき、通常の顕現の仕方がわかっていないことに気がついた。

「通常の顕現て、どうするの?」
「確かに、緋和さんも知らないの?」
「うん、気にしてなかった。言われてみたら、そうだって事に今気がついた。」
「oh よし、近侍に聞こう。困ったら近侍だよ。ねえ、長谷部。どうやって顕現させるの?」
「そうですね、俺もはっきりとは言えないのですが、本丸で鍛刀した刀を顕現させるイメージが近いですかね。」
「鍛刀した刀を顕現……つまり??本体が必要……?」
「八重の言うとおり、本体が必要なら、まずは本体を顕現させる?その後、実体化??」
「それだ!!!!」

と、流れは理解出来たが、何をすれば良いのか悩み始めた所、息詰まった緋和が何の気なしに柏手を一度打つと、その場に短刀が一降り顕現した。
あまりにもさらっと出てきた短刀に、二人して顔を見合わせてしまった。そして、二人して、もしかして?と思った事を緋和が実行に移す。もう一度、緋和が柏手を打つ。すると、先ほど顕現した短刀が桜吹雪とともに実体化した。

「「あっ……(察し)」」

意外と簡単に顕現出来たことになんとも言えない表情になった緋和と顕現の仕方に某錬金するマンガを思い出し、ワクワクした表情を浮かべている私と私たち二人の様子を苦笑いしながらみている近侍の二人と異様な光景が部屋に広がっていた。

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