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シリウスと魔法大臣の孫娘

レオナルド・スペンサー=ムーンの孫娘とシリウスの話。
綺麗で丈夫だけど砕けやすいってことでデフォ名はダイアモンドな。愛称ディア。

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彼女は浮いていた。ブラック家の人間でありながらグリフィンドールに配された自分のように。
彼女の祖父は魔法大臣だった。それも、あの動乱の時代に魔法界を指導した豪腕で知られているレオナルド・スペンサー=ムーンだ。彼女がスリザリンに決まったとき、誰もが新たなるスリザリンの指導者を予感したものだ。だが。

「やあ、ディア。」

「こんにちは、シリウス。」

誰も彼もが驚いただろう。ディアは、その派手な血筋とは裏腹に、ひどく内向的で口数の少ない少女だった。けして目立つことは好まず、ひたすらに勉学に打ち込む姿はスリザリンよりもレイブンクローのほうが相応しかっただろうに。
そして、実家に帰っても誰もいない、という少女は、いつもより人影の少ない図書室でクリスマス休暇を過ごしていた。ディアと理由こそ異なるが、同じようにクリスマス休暇を学校で過ごすシリウスが、暇つぶしに訪れた図書室でディアを"発見"したのは数日前のことだった。

「今日は何の教科の勉強?」

「魔法薬学を。私、苦手なの。」

苦手、というが、ディアの成績は素晴らしいものだったとシリウスは記憶している。熱心に調べものをするディアの正面に座り、シリウスはしばし思案した。

ディアは、シリウスが言葉を交わす数少ない―唯一と言ってもいい―スリザリン生だった。色褪せたようなグレーの髪も、白い肌もスリザリンらしいが、その穏やかな物腰が、シリウスのスリザリンに対する警戒感を弱らせていた。純血でありながら純血主義を嫌うシリウスに対して、何も言ってこないのも物珍しく、どこか嬉しかった。
過去のシリウスに言っても信じられないことだろうが―シリウスは、このスリザリン生に恋をしていたのだ。

「なあ、ディア。」

「何?」

シリウスの声に、ディアは顔を上げる。意を決して、シリウスは言葉を発した。

「今度、マグルの映画を見に行かないか?」

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珍しく敬語主人公ではない。
ゆくゆくは古代魔法学(日本の高校における古典みたいなもん)とかの教授になってホグワーツで教鞭をとる。シリウス生存ルートを書きたいんだ…!

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