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参加者代表、はナミでいいだろうか。参加人数は…と指折り数えて用紙に記入する。幸か不幸か受付にいる男はネアがどこの誰の娘か知らないようだった。若い少女が妙に慣れた手つきでオークション参加証を埋めていくのを怪訝な目で見ながらも、番号札を一枚投げて寄越した。
手続きを終えてナミたちのもとに戻ると、笑顔で感謝を述べられた。
「さあ、ケイミーを競り落とすわよ」
勇ましく会場に入る一味に続くべきか思案していると、ぐいっと背中を押される。
「行かねえのか?」
至極疑問、という顔である。最も普通の人ならわからないであろうが、サングラス越しの顔を読むのには慣れている。
「…ええ、行きましょう、フランキーさん?」
その先は地獄だ。
会場内は熱気に包まれていた。
着飾った上流階級の人間が多い。その状況に、彼らは驚きを見せた。海賊ばかりだろうとでも思っていたのだろうか。
実際、人身売買の実情なんてこんなものだ。
会場を見回すと、ほかにもルーキーがいるようだった。
「あれはユースタス・"キャプテン"・キッド…」
特徴的なその姿を捉え、思わずそうこぼすとチョッパーに知っているのかと尋ねられる。
「あなた達の船長と同じく、億超えのルーキーです。あの奥にいる側近の"殺戮武人キラー"も同じく。」
禍々しい姿を指さし示すと、チョッパーも聞き覚えがあったのかあれが…と呟く。
「そしてあっちに座っているのが"死の外科医トラファルガー・ロー"ですね」
懐かしい顔だ。彼と彼を愛した裏切り者が付けた傷は、父を恐怖させ私を迷わせる。
ほかに誰か面白い人物はいないか、と首を巡らせていると、突然照明が落ち、ステージにスポットが当たった。いかにも楽しそうな声が響く。
悪趣味なショーの始まりだ。
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