おはようございます、転校4日目……いや、土日はさんでるから2日目?
とにかく、月曜日の朝です。
初めての1人での登校を前に「迷ったらすぐ電話して」なんてまーくんは言ってたけど、特に迷うこともなく普通に学校に着けました。一安心。
「む、そこの女子、止まれ」
しかし寒い。もうとっくに春だっていうのに今日はなぜかすごく寒い。
もちろんこの時期にしては、というだけで極寒というわけじゃないけれど、自分の下半身を見れば、短いスカートにさらされた生足。
しっかり見てしまったおかげで増した気のする寒さに、シャツの上に着たカーディガンの袖を引っ張る。いわゆる萌え袖ってやつね。
「止まれと言っているだろう!」
「うわっ!」
あー寒い寒い、早く教室行こう。
なんて考えてたら、後ろからいきなり引っ張られた。痛い。
「…え、なん ですか、いきなり」
「貴様が止まらんからだろう」
どうやらさっき聞こえた声はわたしに向けられていたものだったらしい。
…なんか威圧感たっぷりなんだけど先輩かな。いや、違う、わたし3年だった。
っていうか初対面の人に貴様って失礼な人だな。
そんなことを考えながら彼の左腕を見れば、《風紀委員》という腕章が。
「風紀委員なんているんだ…」
「む、なんだ?」
「いえ別に」
前の学校には風紀委員なんていなかったから本当にいるんだってびっくりした。流石私立。
っていうかとりあえず寒いから、用があるならさっさとして欲しいんだけど。
「なんでしょうか」
「スカートの丈が規定より15cmほど短い。それに、カーディガンも指定のものではないだろう」
「え、だめなんですかこれ」
この前まーくんが着てたのって確かベージュのカーデだったよな…とまだ新しい記憶を呼び起こす。
うん、確かにまーくんが着てたやつベージュだった。
「だめなのか…」
「当然だろう」
「はあ…すいません」
とりあえず謝ってはみたけど、指定のやつって寒いんだよね。
先週の金曜日着てきたけど、わたしの席ドアの一番近くだから、休み時間とかもう地獄。
「その髪色もだ。まったく、我が校の伝統というものを理解していない者が多すぎる!大体女子というのは…」
「……」
なんかひとりでしゃべり始めた。
どうしよう、これもう教室行っていいのかな。
「 (…まあいっか) 」
明日からカーデどうしよう。まあブン太とまーくんに聞けばいいかな。
いまだ一人で話を続ける風紀委員さんを見ながら、そんなことを考えて教室に向かった。