「………どれにしよう」


先陣を切ってコンビニに入ったわたしとまーくん、切原くん、そしてブン太。
…なんだけど、どうしよう。思いの外種類が多くて全然決められない。


「あっ、新作あんじゃん!俺これ!」

「俺ガリガリくんにするっす!」

「チョコミントにするかのう」


え、みんな決めるの早いな。
っていうかまーくんチョコミントなの、駄目だよチョコミントは忍足くんのものだよ。


「俺はティラミスのやつにしよ」

「わ、幸村イメージにぴったり」

「そう?」

「うん。レアチーズ味とか好きそうなイメージだったけど、まあティラミスもそっち系だからね」

「ふふ、よくわかってるね。俺レアチーズ好きだよ」

「俺は抹茶にするか」

「む、では俺はこれにしよう」


次々と食べるアイスを決め、レジに進んでいく立海のみんな。
ええ、どうしようかな本当に。でもけどマンゴーもおいしそうだし、みかんも…うううん、迷うな。


「先輩迷ってるんすか?」

「うん。マンゴーとみか、「うわ、これすげーうまそう!俺これにしよー」

「……決めるの早いなあ」


うわ、後ろの方歩いてて遅れて入ってきた氷帝の人たちまで並び始めた。
ブン太と幸村なんて外出てもう食べ始めてるし。


「よし、間とって桃にする」

「え、それ間とってるんすか?」

「とってるよ」


とってないっすよー、なんて言いながら笑う切原くん。
こういう時真っ先にレジ行くタイプだと思ってたけど、わたしが悩んでるの気付いて来てくれたのかな、かわいい奴め。

……って、そういえばわたしお財布、


「……ごめん切原くん、ちょっとこれ持ってて、すぐ戻るから」

「あ、はい」

「まーくん200円ちょうだい。お財布忘れた」

「えー」


会計を終え外に出ようとしてたまーくんの服を掴んで言えば、なぜか嫌そうな顔をされた。
散々わたしにべったりで芽衣子ちゃん好き好きってやってたくせに、なんでこういう時は渋るんですか。あれは嘘の愛だったのか。


「お財布は一緒のようなもんなんだしいいでしょ。後で返すよ」

「うーそ。これくらい出しちゃるよ」


そう言ってお財布を渡してきたまーくんにお礼を言い、切原くんのもとに戻る。
ごめんね持っててもらっちゃって……って、あれ?


「あ、先輩の分一緒に買っとくんで先外行ってて良いっすよ」

「え、なんで」

「そういえば財布持ってなかったなって思い出したんで。先輩むちゃくちゃ頑張ってるからご褒美っす!」


うわやばい、なんか今ちょっときゅんと来たよ。
かわいいかわいいと思ってたけど、そんなイケメン行動もとれるのね君は。


「ありがとう、切原くん」

「どういたしまして!」


すぐ持ってくんで先行っててください。
そう言った促され外に出れば、ブン太はもう半分食べ切っていた。早い。

…あ、柳くんやっぱり抹茶にしたんだ。おいしそうだな、ちょっとくれたりしないかな。


「いるか?」

「え。いいの」

「食べたいと顔に書いてあるぞ」


へへ、それじゃあ一口。ほんのりと苦味があるけど、さっぱりしてておいしい。
わたしも抹茶にしたらよかったかも。


「真田あずきバーかよ」

「おじいちゃんじゃ」

「なっ!」


かわいそうに真田くん、ブン太とまーくんにいじられてる。
いいじゃんねあずきバー、おいしいのに。


「お子様舌にくじけちゃ駄目だよ、真田くん」

「谷岡…」

「わたしあずきバー好きだよ。小さい頃おじいちゃんにもらってよく食べてた。甘すぎなくておいしいよね」

「くっ…谷岡…!」

「真田、アイス髪につく」


あずきバーを持ったまま、抱きつかんばかり勢いで寄ってきた真田くんからまーくんが守ってくれた。
ごめん真田くん、あずきバーにも君にも罪はないけど、お風呂上がりに髪がべとべとになるのは勘弁したいんだ。


「お待たせしました!」

「あ、おかえり。ありがとね切原くん」

「うわっ丸井先輩もう無くなんじゃん、食うの早すぎ」

「うっせばーか!」


子供か。アイス片手に騒ぐ2人を横目で見ながら包装紙を開ける。
溶けたら手べたべたになっちゃうし、気を付けないと。


「芽衣子ちゃんのうまそうやな」

「桃だよ。忍足くんはゆずにしたんだ」

「さっぱりしててうまいで。食う?」

「じゃあわたしのも食べていいよ」


カップを受け取ってアイスを口に含むと、つい数秒前まで騒いでたブン太の目が光る。
え、なんでまーくんまでこっちガン見してんの?


「おいしかった、ありがと」

「いーえ。芽衣子ちゃんのもほんのり甘くてうまかったわ」

「芽衣子ちゃん、俺にもちょーだい」

「いいよ、まーくんのもちょうだい」

「ん」

「芽衣子!俺も俺も!」

「あんたにあげたら一瞬で無くなるからやだ」

「うわこの女うぜー!」

「うるさいばか」


まるで子どもだな。
宍戸くんと日吉くんのため息と共に、柳くんが呟いた。



  


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