「もう時間だ。俺はもう三十分くらいも待ったぞ。ハリー、ハーマイオニー、大丈夫か?」


 ハグリッドが心配そうに二人を見たけど、ネビルは可哀想に呼ばれなかった。ドラコは真っ青になりながら私の手を握り締めてきて、このまま指先が壊死するんじゃなかろーかってくらい指先が真っ白だった。ちょ、指が! 手首にチョップして、私がドラコの手首を握った。ドラコは不安そうだ。


「こいつらは罰を受けにきたんだ。あんまり仲良くするわけにはいきませんよねぇ、ハグリッド」


 その通りだ。だからこの場合、ネビルとドラコがハグリッドとペアを組むべきなんだけど、公平なんて知らないぜ! とハグリッドとはハリーたちが組むんだよなぁ。


「僕は森には行かない」


 ドラコが震える声で言った。


「ホグワーツに残りたいのなら行かねばならん」

「でも、森に行くのは召使がすることだよ。生徒にさせることじゃない。同じ文章を何百回も書き取りするとか、そんな罰だと思っていた。もし僕がこんなことをするってパパが知ったら、きっと……」


 ドラコが怒られるんだろうね。原作でも、ハーマイオニーに成績で負けたこと、怒られたもんね。


「きっと、これがホグワーツの流儀だって、そう言い聞かせるだろうよ。――書き取りだって? へっ! それが何の役に立つ? 役に立つことをしろ、さもなきゃ退学しろ。おまえさんの父さんが、おまえが追い出された方がましだって言うんなら、さっさと城に戻って荷物をまとめろ。さあ行け!」


 ノーバートの恨みでもぶつけてるんじゃなかろうか。書き取りは書き取りで嫌になるくらい同じ文面を書けば罰になるだろうし、それに危険な時代だとか何だとか言ってるってのにどうして森に行かせるのかがさっぱり分からん。夜中に徘徊してた罰として夜中に徘徊させるのはどうよ。









 二手に分かれた後、ドラコは私の顔が見えなくて不安だからか、私の名前を呼んだ。まぁ一緒にいるのはネビルだし、出て悪いことなんてないから平気だけど。


「レイノ――レイノ、いるんだろう?」


 確信してるって言うより嘆願っぽかった。よっぽど恐いのね、ドラちゃんってば。


「はいはい、いますよ」

「――ヒ?! レイノ?!」


 私が突然現れたからだろーけど、ネビルが肩を大げさすぎるくらい揺らした。


「やっほ、ネビル。私が来たからにはもう大丈夫」


 四次元ポケットは持ってないけど、二十数年分の経験と実績がありますので。


「さて、二人ともちゃんと杖を構えて、私の後ろに着いてきてね」


 二人がまっすぐ杖を構えたのを見て、私は先頭に立った。もしかしたら原作みたいにヴォルディーとは会わないかもなぁ。どーだろ。ハグリッドとハリーたちがご対面なんてこともあり得るよね。


「ど、どうしていきなり現れたの、レイノ? 姿あ、現し?」

「姿現しはホグワーツ内じゃあ出来ない。そんなことも知らないのか、ロングボトム?」

「こらドラちゃん喧嘩しないの。姿現ししたんじゃなくて、元々隠れて着いてきてたんだよ。ハグリッドがいたら追い返されちゃうかもしれないけどネビルとファングだけだし、隠れてる必要ないからさ」


 ファングがよだれを垂らしながらハッハッ言ってすり寄ってくるのを避けた。よだれまみれにされちゃ敵わん。


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