次の朝、珍しくワシミミズク以外から手紙を受け取ったドラコが、青い顔して私に縋りついてきた。瞳を潤ませる美少年、萌えっ!――だいたい何を言いたいかは分かるから、可哀想っちゃ可哀想なんだけどね。どーしたのドラちゃん、お姉さんがパパっと解決してくれよう。


「レイノ、どうしよう! 罰だって――減点だけじゃなかったのを忘れてた!」


 ストレスで禿げてけば、(私が)この上なく幸せなのに――いかんいかん。


「大丈夫だよドラコ。ドラコだけじゃない、ハリーたちも一緒に罰を受けるんだから一人じゃないよ」

「ポッターたちと?! そんなの酷すぎる!」


 どーやらドラコはハリーたちと一緒ってのはもっと嫌らしい。と言われてもなぁ、私がついて行くことなんてできないし、可哀想だけど寮の前で手を振ってあげることしかできないんだよな。薬草を摘みに行くとかセブに許可もらおうとしても、もう試験一週間前だから私が行くんじゃなくてセブが行くのが順当だしなぁ。本音を言えば、私も寝たいし、面倒だしさ。


「って言ってもね、深夜に徘徊しちゃったのはドラコだからなぁ。私がついて行ってあげることはできないよ」


 ああでも、涙目のドラコについ頷いちゃいそうだ。そんな、チワワみたいな目をして見ないで! 心が穢れきってる私にはその光は強すぎる!


「レイノ……」

「う」

「レイノ……」


 ドラコは将来悪女になる。今、それが確定した。性別が違うから悪男? どこの不良マンガ?


「OKOK、姿を隠せる魔法があるから、それでついて行ってあげるよ」

「有難うレイノ!」


 ドラちゃん、どこで道を踏み外したんだろーか。確実にヒモ男的スキルを身につけてってるよ。駄目だ、凛々しく格好良いドラコ化計画はどこに行った。


「それにしても、ね……何考えてんだろ、ジジイ」


 私は抱きついてくるドラコの頭を撫でながら教師席を見上げた。……セブがドラコを射殺さんばかりに睨んでる。ジジイはヒゲを撫でながら怪しく笑ってた。見なかったことにしよう。

 手紙には禁じられた森に入るなんて全く書かれてなかったけど、原作読者の私は知ってて当然だもんね。試験前の罰則、試験前の罰則……何かあったよーな気がする。ウィキウィキにしてやんよ!


「ああ、ヴォルディーか」


 ドラコには聞こえないように呟いて、教師席に視線を滑らす。ターバンのどもり教師ことクィリナス・クィレル――ユニコーンの血を啜った代償に、骨も残らず消え去る運命の男。私は彼を救うべきなんだろうか。彼もヴォルディーに利用された立場と言えばそうなんだから。クィレルが私の視線に気づいてか首を傾げながら見つめ返してきたから、笑顔を返しといた。






 ……私は、セブを救えればそれで良い。


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