最近ドラコが忠犬っぽい。おかしいな、ドラコはあいつの血を引いてるんじゃないはずなんだけど。従兄弟パワーか? 隔世遺伝?

 もう試験はあと一週間と少しに迫ってて、どこもかしこも一時的に真面目になった生徒で溢れかえってる。


「レイノ、どこへ行くんだ?」

「セブのとこ。行ってきます」

「ああ、行ってらっしゃい」

「気をつけてねー」

「落ちれば良いのに」


 パンジーが最近恐い。いや、前から恐かったんだけど、最近はもっと恐い。さらりと毒を吐いてくれるもんだからもう泣きそうだ。アメリアはアメリアでこの頃地下集団を纏めてるみたいで恐ろしいし、私の周りは恐い女の子ばっかりか。そういやマートルも恐かった。ゴリ押しの達人だった。だから私、恐くてあのトイレに近づけない。


「セセセセセセセセセセセセ」


 懐かしのチーズ星人みたいに両手を構えて唱えたりしながら地下の薬学研究室に向かう。教師だからっていって皆まとまった場所に寝室があるわけじゃなくて、それぞれの科目教室の近くで寝起きしてるのだ。


「セーブー」


 四回ノックして返事を待たずに開けた。セブは天井の明りに杖を向けて、明るさを調節してた。滲むように明るくなってって、『薄暗い』雰囲気なんて失せた。紅茶を詰めた水筒をテーブルに置いて、私用に常設されたを端から引きずりだして座る。


「うむ。良く来たな、レイノ。今日はどうだった」

「今日は――うーん、特にこれと言ったことはなかったよ。セブのところに遊びに行くって言ったら罵られたけど。皆切羽詰まってるね」

「ああ――お前は大丈夫なのか? 七年間ちゃんと首位を取れるのだろうな?」

「大丈夫だよセブ。私を誰だと思ってるの、セブの娘だよ」


 セブはどうやら高学年の試験問題を作ってるみたいで、私が覗いても止めなかった。


「三年生?」

「ああ」


 でも一週間前になったらセブの部屋訪問も控えないといけないなぁ。試験問題を見せてもらったに違いないとか疑われそうだし。一週間前ってーと、明日か。じゃあ今日までなのか、なんか寂しいな、入学してから毎日通ったのに。雨の日も風の日も、屋根の下を。


「明日からセブの部屋に来るの控えるね。紅茶はいつ渡そーか。夕食の後とか?」


 セブは水だし紅茶にハマって、私がクリスマスに寄り道した堂島にあるティーハウスムジカのオリジナルブレンドティーがお気に入りだ。どこのブレンドだって何度も聞いてきたけど、流石に日本に行ってきたことがバレるだろーから内緒にしてる。言えませんよ恐くて。


「なら夕食の後渡してくれ」


 セブに頷いて、二人で紅茶を飲んだ。最近セブが紅茶を淹れてくれないのは水だしのこれのせいだろーか。


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