「――ここにはいないようですが――ウィーズリーも仲間だったのでしょうね! 偽の手紙を使ってマルフォイを誘き出し、問題を起こさせようとしたのでしょう。マルフォイはもう捕まえました。たぶんあなた方は、ここにいるネビル・ロングボトムが、こんな作り話を本気にしたのが滑稽だと思っているのでしょう?」


 僕は今日、マルフォイのそばにレイノがいなかったからいつもより酷い悪戯を受けた。どうしてかは知らないけどマルフォイは苛々してて、金縛りの呪文で縛ってきたりしたんだ。その時マルフォイはハリーたちがドラゴンを逃がそうとしてるって言ったんだ。勇気のない僕には止められないことも、どうすることもできないって分かってたからだろうな。

 僕はスリッパの先を見つめた。ホグワーツの廊下は暗かった――帯状に連なった風は生ぬるかったり暖かかったりした。ハリーはドラコをだましたんだ、ハリーは勇気がある。あの嫌な奴に一杯喰わせてやろうと、色々と計画を練ったに違いない。だって言うのに、だって言うのに何で僕はそれを本気になんかしたんだろう?……みっともない、ばあちゃんが聞いたら何て言うだろう。きっとただじゃすまないよ。


「呆れ果てたことです」


 マクゴナガル先生が言った。


「一晩に四人もベッドを抜け出すなんて! こんなことは前代未聞です! Miss.グレンジャー、貴女はもう少し賢いと思っていました。Mr.ポッター、グリフィンドールは貴方にとって、もっと価値のあるものではないのですか。三人とも処罰です……ええ、あなたもですよMr.ロングボトム。どんな事情があっても、夜に学校を歩き回る権利は一切ありません。特にこの頃、危険なのですから……五十点。グリフィンドールから減点です」


 呼ばれて、肩が跳ねた。僕が――僕のせいで――グリフィンドールから減点された?


「五十?」

「一人五十点です」


 ハリーが悲鳴みたいにかすれた声で呟いた。マクゴナガル先生が鼻息も荒く言った。


「先生……、お願いですから……」

「そんな、酷い……」


 僕は何も言えなかった。僕は、五十点。でもハリーたちは、二人で百点失ったんだ。考えが変わってきた――これは勇気じゃなくて、無謀っていうんだって思った。悔し涙がこぼれた。馬鹿みたいに騙された僕自身にやり場のない怒りが湧いて、失った百五十点が苦しかった。

 帰り道、僕は下を向いて二人とは一言も話さなかった。もぐりこんだ布団は冷たくて、暖まるまで凍えながら両手をすり合わせた。


[] | []

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -