17


 急にドラコが立ち止まった。どうしたのかなーと思って振り返れば、ハリーたち三人の方を向いて、ドラコが薄笑いを浮かべてた。気持ち悪い。


「ど、どうしたのドラコ? 頭でもおかしくなった?」

「なったわけないだろう! いちいち君は失礼すぎるぞレイノ。ちょっとポッターたちの秘密を握ってね、思い出すたびに笑えるんだよ」


 ドラコの怒鳴り声を耳をふさいでやりすごした。え、でもさドラコ、思い出し笑いする人って……


「思い出し笑いする人ってムッツリスケベなんだよ。ドラコはムッツリだったんだなぁ」


 あーあ……皆さん、悲しい事実が発覚いたしました。ドラコはスケベ、それもムッツリです。これを我々究明班は父親の影響ではないかと考えます。だってルッシー、見るからにエロ大魔神だし。小さい頃は可愛かったのに! 天使とはかくあらんと感動してキリスト教徒になろうか悩んだのに! や、あんまり迷わんかったけど。だって私無神論者。


「レイノ?!」

「大丈夫だよドラコ。私はドラコがたとえムッツリスケベであろうとオープンスケベであろうと気にしないから!」

「気にしろ! って、その話じゃない、僕はムッツリなんかじゃない!」


 否定するドラコに疑いの目を向けると、涙目で否定しだした。冗談だよノビ太君。


「レイノ、ドラコをおちょくるのは止めてよ。いつもに増して貴女テンション高いみたいだけどどうしたの?」


 パンジーが首を傾げた。


「いや、前々から欲しいと思ってて、でも手に入るとは思ってもなかったものが偶然手に入ってね。今のレイノさんはなぁ、レイノさんはなぁ、最強なんだぜ!」

「貴女こそ保健室に行ってらっしゃいな。言動が奇妙よ」

「先生には私が言っておいてあげるわね」


 パンジーに言われ、アメリアまでニッコリと笑いながら手を振られた。苛め? これって新手の苛め?!


「酷いよ二人とも! 私のどこがおかしいって言うのさ。それにアメリア、保健室に行くにしてもついて来てくれないんだね!」


 アメリアは何を当然のことを、とでも言いたげに目を丸くした。何でだよ!


「――そうだ、僕はレイノ程変じゃないぞ! レイノは変人だからな」

「ど、どこが?!」

「全体的に?」


 アメリアさん止めてください。目がジンワリと熱くなってきたよ本当に。裏切られた気分だ。信じてたのに! う、裏切ったね? 親父にも裏切られたことなかったのに!――原因はコレか? 三人には元ネタの分からないネタを使いまくったからか? そんな気がしてきた。


「か、帰って来て欲しかったら黄色いハンカチを振るんだね!」


 私は顔を押さえながら来た道を走りだす。向かうは保健室ですよ。そこで隠れて、こっそり涙を流すんです。だって女だもん。


「はい、黄色いハンカチ」


 パンジーがポケットから取り出したのは果たして黄色いハンカチだった。……偶然なんて嫌いだ!





 次の授業は出席した。いたたまれなかった。


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