16


「やあハリー、どったの?」


 飛び込んできたのはハリーだった。一応私の兄ではあるけど、違う寮だってことであんまり話したこともなければすれ違う時に挨拶を交わすような仲でもない。特急の中では話したりしたけど、ロンが組み分けの後からウザくなったから疎遠になったというか。


「レイノに、頼みたいことが、あるんだ……」


 荒い息で背中を上下させながらハリーは言った。


「レイノはハグリッドのあれを知ってるんでしょ?」

「あれ――ああ、あれか。うん、知ってるよ。もう孵ったの?」


 ハグリッドからの手紙があるということはもう孵ったんだろうけど、私は知らないはずなんだし聞いた。


「ウン。ついさっき孵ったんだ。で、実はそれをマルフォイに見られちゃって――お願いだよレイノ、マルフォイに黙ってるように言ってくれないかい?」


 まさか私に頼みに来るとは思いもよらんかった。でも原作でドラコは先生にチクらなかったし、私が頼む必要は全くない。ていうか、私が頼んでみろ、逆にドラコはチクるだろーと思うよ。ポッターの味方をするなんて許し難い、君はスリザリンだろう?! とか言われそうだ。


「うーん、無理だね」


 即答した私にハリーは目を剥いた。


「え、どうして?!」

「私が口止めしたら、ドラコは先生に言うと思うよ? 私とハリーは友人だけど、それ以前にスリザリンとグリフィンドールだ。他の寮生、それもグリフィンドール生を庇えというのは、私にスリザリンで浮けと言ってるのと同じ意味だよ」


 ドラコならきっと、レイノは流されやすいから頷いてしまったんだろう、仕方のない奴だ、と私を責めないだろーし、アメリアもパンジーも私の性格を知ってる――長いものには巻かれろ主義、ってか事なかれ主義――から別に私に対してどうと思うことはないだろーと思う。でもハリーに対しては? 私の親切心を利用した、だとかそんな風に思うに違いない。


「友達――」


 ……ハリー君は人の話を聞いてるのか? 独り言をブツブツと言ってるよーだけど、私のお話をちゃんとその頭にインストールしたの?


「ねえレイノ! 僕と君って友達?!」

「ま、まあ、知り合い以上だし。友達なんじゃない?」


 実は双子の兄妹だけどね☆ 言わないけど。それ以前に私が知ってるはずがないしね。


「そっか、なら良いんだ――ごめんねレイノ! じゃあまた今度!」


 ハリーは何故かさわやかな笑みを残して走り去ってった。嵐のよーな奴だなぁ。

 ところで、一つ気になる。








 どうしてハリーは私がここにいるって知ってたんだ?


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