スネイプだったのだ。スネイプが賢者の石を狙っているのだ……! ハリーはクィレルが去るのを待ちながらぐるぐると考えていた。






「ハオ!」


 自分の考えに没頭して俯いていると、前方が急に暗くなった。顔を上げる。黒髪の、オリエンタルな容貌の女がいた。


「――――!!」


 のけぞり、座っていた木の幹に背中を押しつけた。見慣れない顔の女だ。アジア系の顔がこんなのだといつかテレビで見た覚えがある。


「そこまで驚かなくても別に取って食ったりしないから。今日はそーだな、君にヒントを上げに登場したのだよOK?」

「お、OK」


 女は魔女らしい恰好をしていなかった。どこかの民族衣装なんだろう目新しい服を着ていて、前で合わせる形のようだがボタンがなく、布のベルトのようなものを腰に巻いている。ハリーの据わる枝に危なげなく立ち、彼を見下ろしていた。


「ヒントって――何を言いたいんですか?」

「ヒントはヒントだよ。君が一番悩んでることの、答えにつながるヒント」


 女は笑んだ。


「良く考えて、調べるんだよ? 問題を解くときは、自分がスプーナー教授になっていないかもう一度見直すんだ」

「スプーナー教授……?」

「物知りの友達に聞くと良い。彼女ならこのヒントが解けるだろうから」


 女はそう言うと、消えた。姿現わしができないはずのホグワーツで、女は真実視界から消え失せた――


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